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学校選択というコト[04]

学校選択というコト[03]のつづきです。(1)の「 自己実現プログラムの自覚的実行力」について、共立女子のケースを考えてみましょう。

★共立女子は、ミッションスクールではないにもかかわらず、[図COS]にある「自己参照基準」と「知性・感性・理性」の「自問自答」の回路が非常によく回転しています。ミッションスクールでない場合、「自己参照基準」は「学校文化のルール」に置き換わって、一方通行的に「知性・感性・理性」の判断がチェックされるという可能性が高いのですが、共立女子は自問自答が連綿と続くコミュニケションのオープン・システムが出来上がっています。

★美術を中心とする芸術教科のプログラムは、大変特徴的です。技法にとどまらず、自己と他者の関係、自己の中の自己の発見を、表現を通して気づいていく仕掛けが確立しているのです。コミュニケーションベースの数学というたいへんおもしろい発想の教科もあります。これは「知性」と「理性」の境界線を対話の中から実感できるチャンスがあります。

★コンピュータの接続環境はすべての教室にありますし、実は美術の時間でも大いに使います。DB(データベース)という発想は、体験の中から生まれます。そしてとにかくイベントが多いので、外界からの情報収集はあまりにも豊富です。それから共立女子の位置する神田という街自体が知の集積都市です。

★国語科の読書指導と社会科の新聞記事ベースの問答法は、「自問自答」の回路を大回転させる機会です。とくに「共立」を「ともだち」→「友愛」と自覚的に読みかえる学校文化こそ、「自己参照基準」を独り善がりなルール設定になることを防ぎます。また英語科のオリジナルテキストは、英語のスキルをベースに、英語で社会問題を考える仕掛けになっていますから、「自己参照基準」は国際標準との照合がなされます。

★高校になると論文編集作業が、先生とマンツーマンで始まります。コミュニケーションのオープン・システムは共立女子のあらゆる教育活動で自覚的にプログラムされているのです。渡辺教頭先生は、教育の質は、暗黙知をいかに可視化しつづけるかにあると語ります。可視化することで、多様な教育活動の関係性を明確に意識できると同時に、可視化できない暗黙知がさらにあることに気づくということです。暗黙知のまま放置していては伝統という名のマンネリ化が起こります。常に関係性を可視化する挑戦。共立女子の教育の質の高さは、このように先生方のプログラムの編集能力に拠っているのです。そうそう、したがって、多くの生徒たちは[図CTL]におけるレベル5に到達します。東京で一番生徒数を担保している女子校ですから、未来の社会を創る大事な人材を輩出する拠点であると理解するのが妥当でしょう。[本間 勇人 Gate of Honma Note

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