入試問題は学校の顔[03]~栄光学園
★入試問題は学校の顔[02]~桜蔭中のつづきです。今春の栄光学園の国語の入試問題を、「読解リテラシー」の切り口で分析しました。一般に思われているように難問はありません。世界標準内にきちんと収まります。栄光学園らしいですね。学習指導要領の制限にのっとって、知識も出すし、世界標準を超えるような高度な問題もださない。でも選抜することができる、つまり日頃丁寧な学びをしていないと差がつく問題を出題しています。
★さて、「読解リテラシー」の3つの能力のバランスですが、漢字の書き取りなど15題だすなど、知識問題の占める割合が多くなっているので、偏りがあるようにみえますが。「情報の取り出し」「テキストの解釈」「熟考と評価」だけ抜き出せば、そのバランスはよいと思います。
★桜蔭と同じように「読解リテラシー」の能力をみる問題の総数が少ないですから、本質的な問題が出されていると理解していよいでしょう。科学的な見方、特に科学的考察はコペルニクス的な転回を常に含んでいるということを押さえておかないとテーマそのものが難しいでしょう。文章はそれほど難しくないのですが、考え方は簡単ではないのです。
★物語では、人間の気持ちのパラドックス、純粋なものの表現について何度か考えたことがないとちょっと難しいかもしれません。読書量というより考える時間が大事ですね。とはいえ、レベルは2から5まで。きちんと論理的に考える習慣が決め手になります。もちろんパラドックスも論理的思考の一部です。
★知識問題が60%以上占めていますから、合格者の平均正答率は65%から70%の間なのですが、差がつくのは、考える問題。もっとも、意外と漢字が書けないので、ここはここでしたたかにトレーニングを積んでいる受験生に有利なわけですが・・・。思い切って漢字の問題を出題しないと、考える質にこだわった生徒が進学すると思うのですが。[本間 勇人 Gate of Honma Note ]
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