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入試問題は学校の顔~東海中

★入試問題は学校の顔とよく言われます。その学校がどのような教育プログラムを持っているのか、入試問題にはその質が反映してしまいます。この間名古屋のセンター模試会場で、東海中とほかの学校の国語の問題を比較してみました。やはり大きな教育の質の違いが明らかになりました。入試問題は、その学校の先生の実力があらわれてしまうものです。

★さて、ではどうやって比較することができるのか。それはOECD/PISAの読解リテラシーというグローバルスタンダード(世界標準)という尺度で比較できます。この研究の成果を私の友人の岡部憲治さんが本「世界標準の読解力」(白日社2007年9月)として出版しました。OECD/PISAの問題と中学入試問題を比較し、十分に中学入試が世界標準の問題であることと同時に世界標準を超えているということを証明した本です。また岡部式「かんがえ型」を編み出し、読解リテラシーや論文メソッドを鍛える方法論も発表しています。

★岡部さんの本に基づき、中学入試問題を分析していくメリットは、すべてのテストを同じ尺度で分析できるので、質の比較ができることと、その学校の教育が世界標準に比較してどのくらいのレベルかということまでわかるという点です。

★学校選択をする際に、世界標準クラスあるいはそれ以上である学校を選ぶ方が望ましいのではないでしょうか。

★さて、OECD/PISAの読解リテラシーは3つの能力と各能力を5つのレベルに分けています。読解リテラシーの能力領域は3×5で15領域あるということになります。岡部さんは、中学入試問題をていねいに分析していって、15の領域を超える問題が出題されていることを確認しました。ですから岡部さんのオリジナルの読解リテラシーの能力領域は18個ということになります。

*参照→岡部さんのオリジナル習熟度レベルの表(前掲書86・87ページ)

★実際の入試問題はOECD/PISAが出題していない知識確認の問題があります。ですから、これをレベル0として追加しないと入試問題全体は分析できません。岡部さんのオリジナル習熟度レベルの表(前掲書86・87ページ)を多少修正して、今後いろいろな学校の国語の中学入試問題を分析していきたいと思います。この習熟度レベルの表の見方や実際のOECD/PISAの読解リテラシーの問題に関心ある方は、岡部さんの本やサイトをご覧ください。いずれサイトで、岡部さん本人がもっとおもしろい分析をしていくことと期待しています。

07 ★まずは今年の東海中の国語の問題です。「情報の取り出し」「解釈」「熟考と評価」という3つの読解リテラシーの能力をバランスよく出題しています。この能力は入試問題のためにあるわけではありません。さまざまな情報(文章だけではなく写真やグラフやデータもテキスト情報)を読解する際のリテラシーの能力です。

07_2 ★東海中の読解リテラシーに対する考え方が、世界に通用するものであることがわかります。また、レベルを分析するとレベル5までの問題がありますから、中学入試の段階で、すでに世界標準に達していることが望まれているわけです。なるほど愛知県でナンバー1の私立学校ですね。このレベル表に基づいて、ちょっとしたシミュレーションをすると、合格者の平均正答率は68.2%という結果が出ましたが、実際にはどうでしょうか。いずれ確かめてみましょう。それはともかく、世界標準を超える読解リテラシーの問題は出題されていません。これでは困ります。

★というのも受験生は過去問を基準に学びます。今のままでは世界標準の枠内の学びで終わるでしょう。これでは国際社会で活躍する才能があっても、芽は摘まれてしまいます。東海中の使命を考慮すると、もっと世界に目を向けるべきではないでしょうか。[本間 勇人 Gate of Honma Note

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