入試問題は学校の顔[04]~かえつ有明
★入試問題は学校の顔[03]~栄光学園のつづきです。校舎移転、共学校化、校名変更、教育改革など大きな学園のパラダイム転換を推し進めて2年目を過ぎようとしているかえつ有明。その人気ぶりは、ここで確認するまでもありませんね。
★しかし、このかえつ有明の変貌ぶりは、とどまるところを知りません。大変革の中心は今まで「サイエンス」だったのですが、この新教育プログラム自体、さらに大きく変わろうとしています。変わるというより加速度的に広がっていると言った方が適切かもしれません。
★その広がりとは、今まで国語と理科との連携がベースだったのですが、さらに英語や社会とも連携しようと企画しているのです。教科間の知の連携と教師どうしのチームプレイが広がっているのですね。
★一方英語もIB(インターナショナルバカロレア)の世界標準のプログラムのアイディアを導入しようとしています。世界標準と言った場合、かえつ有明では、まずは教科横断的なプログラムと教師どうしの連携のことを示唆しているようです。IB自体、教科横断的なマルチインテリジェンスの方法論をベースにしています。
★さて、「連携」が「サイエンス」と「英語」の共通語であり、それが示唆するのは「世界標準」というのが、かえつ有明の新たな戦略のようです。わくわくしますね。
★そうなってくると、しかし入試問題に多少の変更が出てくるかもしれません。というのも入試問題は学校の顔ですから、入試問題自体「世界標準」を標榜するような問題が作成される可能性があるからです。
★今春2月1日のかえつ有明の難進の国語の問題を分析してみました。「読解リテラシー」の3つの能力である「情報の取り出し」「テキストの解釈」「熟考と評価」のうち3つ目の自分で意見を考えたり、批判的な思考を駆使する問題は出題されていませんでした。「世界標準」を標榜した以上は、この能力をテストしないわけにはいかないでしょう。もちろん、入学してから鍛えますということでしょうし、実際にそうしていますから問題はないのですが、入学してくる前から脳を全体的に働かせておいたほうが、入学後の伸びに差がつきます。「世界標準の読解リテラシー」について、かえつ有明の国語科の先生がどのような回答をだすのか来春が楽しみです。
★レベルに関しては、すでに「世界標準」です。レベル4、レベル5という難問も20%弱出題しています。合格者の全体正答率は70%近くになるはずですが、レベル4とレベル5の問題が極端にできなかったので、もう少し正答率は低くなっていました。現状では、レベル4とレベル5の問題を避けてほかの問題に集中した方が受かりやすいというのが本当のところです。
★しかし、これでは入学してから「世界標準」の授業に臨むときに相当苦労します。入学前の働きかけが、かえつ有明から準備される必要がありますね。パラダイム転換をして、それを実現可能にするエネルギーは生半なものではありません。かえつ有明の先生方の気概と知性と機知に富んだセンスを見定めに、ぜひ学校説明会に参加しましょう。[本間 勇人 Gate of Honma Note ]
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