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教育の挑戦[05] 聖園女学院(5)

教育の挑戦[04] 聖園女学院(4)のつづきです。聖園女学院の国語の授業について、教頭濱田正夫先生からお話をお聞きするチャンスをいただきました。進路指導や宗教の時間と同じ構造の展開がプログラムとして工夫されていることに気づきました。

★ワークシートを使ったり、チームで議論をし、自分たちが気づいたことをプレゼンテーションしたり、レポートにまとめたり・・・。

★たとえば、羅生門を読んで、芥川龍之介の問いかけに耳を傾ける作業を、多目的ホールで、チームに分かれて議論をしていくそうです。芥川龍之介という人間の本質を見極めようとした作家の目を通して、エゴイズムと宗教の関係についての気づきを発見するという過程を大事にしているのでしょう。

★この羅生門についての読み解きは、中1のときと高1のときの両方で行うということです。学びの成長と気づきの変化を生徒自身が気づくという螺旋型の教育プログラムになっています。生徒自身が自分で気づく過程を重視しているところがポイントですが、このような授業の展開をあらゆる教科で実施しているところが聖園女学院らしいところではないでしょうか。

★この自ら気づく、そのためには生徒どうし、生徒と教師が互いに対話するというチャンスをあらゆるところで創っていくという教育が聖園女学院の特徴です。

Photo ★このような授業がベースにあるからこそ、たとえば、生徒会が年間目標を自分たちで気づき、話し合い、自分たちの言葉で表現できるのです。今年の年間目標は、各教室や廊下に貼り出されています。「如己愛人」がそれです。生徒会で話し合って決めたそうですが、まさに聖園女学院の精神そのものではないでしょうか。

★各教室には日めくりカレンダー風の聖書の言葉があります。それをめくっていくと、なんと「あなたがたは人からしてもらいたいことを人にしなさい」という福音の言葉がありました。生徒会のメンバーはこの言葉を直接意識したかどうかはわかりません。しかし、明らかにその精神は受け継がれています。

Photo_2 ★そこまでカトリックの精神に影響を受けているのでは、少し偏っているのではないかと思われる方もいるかもしれませんが、実はこの福音の言葉は、グローバルな言葉でもあるのです。1985年に国連創立40年を記念し、アメリカ合衆国の代表として当時の大統領夫人であったナンシー・レーガン夫人があるモザイク画を国連に寄贈しました。そのモザイク画はアメリカの芸術家、ノーマン・ロックウェルによって描かれた「黄金律」がベースになっています。ロックウェルは「黄金律」が世界中の宗教すべてに共通なテーマであることを確信し、すべての民族、信教、人種を描いたんですね。そしてロックウェルの書いた「黄金律」こそ「あなたがたは人からしてもらいたいことを人にしなさい」だったのです。

★世界の痛みに気づき、世界の平和に視野を広げるときに、キリスト教や仏教などの宗教を避けて通るわけにはいかないのですが、「受験脳」に固執している間は、それに気づかない場合が多いですね。中学受験の使命は、世界で活躍する人材として育つ場を見つけることでもありましょう。それには他者の痛みと自分のつらさを重ね合わせ、乗りこえる大きな人間に成長することに価値を見いだせることが大切ですね。 [本間 勇人 Gate of Honma Note 

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