名門校の条件[13]~共立女子のクオリティ
★名門校の条件[12]~共立女子のクオリティのつづきです。
§3 「共立」の意味
本間) コミュニケーション・ベースとか関係総体主義というのは、ある意味「編集過程」「創作過程」の基礎だということですね。この過程は関係を発見してつないでいく知的な活動だし、新たな関係を発見するには、自由で柔軟な雰囲気と自立が必要ですね。
岡部) なるほど、わかりました。高校1年生の「テーマ研究 レポート優秀作選集」を拝見しましたが、社会問題、自然科学の問題を、通り一遍の切り口から展開していくのではなく、「オタク文化」「萌え文化」「アニメ文化」から論じていく生徒も多かったのは、自立や自由を先生方が大事にしているからですね。
本間) 生徒会が中心となって編集している「さわらび61」では、高校1年・2年を対象に「中高一貫校についてのアンケート」結果の特集が掲載されていました。編集委員のみなさんは、こんなふうに言っていますね。「辛口コメントの中にもやさしさがみえる」「それぞれ違う価値観を持っている1200人が共存しているこの状態。これがまさに共立って学校の特徴なんじゃないのかな」「二律背反。相互に矛盾する二つの事が等しい妥当性もって主張されることよ」
岡部) 渡辺先生が現代思想の用語を駆使されるだけではなく、生徒さんたちも難しい言葉を使うんですね(笑)。
渡辺) 生徒はそういう言葉を使いたがる時期ですね。でもそれはそれでよい。高みに上って俗に還るのはもう少し成長してからでよいでしょう(笑)。ともかく、生徒たち自身、いろいろな価値観や考え方をもった自分たちが「共存」「共感」していると了解することがとても好きですね。中学では「共立」という言葉を「ともだち」と言い換えている文集がありますが、この感覚はすべての生徒に浸透していますよ。まさに関係総体主義的でしょ(笑)。
★前回、共立女子の生徒は公共性を批判的に検討し、個性も大事にするように成長すると述べました。今回の対話の部分にはそのように育つ理由が語られています。「通り一遍の切り口」ではないというところが、批判的切り口ですね。共立→ともだち→共存→共感という意識の流れが、行事や部活において当然あるのでしょうが、多くの作品創作過程の中にもあるということもポイントですね。そして公共性と個性は、「二律背反」。それをどう解決するか。これこそまさに「関係総体主義的」構えです。
★そうそうそれから、「通り一遍でない切り口」は、学校説明会でも、先生方によって発揮されています。毎年配布資料には工夫があり、共立らしさを表現するモノが配られます。今年は、共立女子の制服を着たキティーちゃんのストラップでした。これはただカワイイとい表現をしているわけではありません。在校生にもたいへんな人気だったと聞きます。そりゃレアものですから。しかし、そうではないのです。この「キャラとキャラクター」が現代日本の文化を考えるきっかけ、つまりトリガーになるんですね。そのことについては、今回の対話で岡部さんが触れていますね。モノがコトにシフトする瞬間の隠喩が共立女子のキティーちゃんにはあります。モノからコトへとは、通り一遍の考え方を新しい切り口で拓くという「関係総体主義的」構えです。[本間 勇人 Gate of Honma Note ]
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