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名門校の条件[19]~茂木健一郎氏のコンセプト

名門校の条件[18]~茂木健一郎氏のコンセプトのつづきです。茂木健一郎さんは、倫理に対して脳科学の立場から論じているところがいっぱいあります。倫理の意識が脳科学的にどのように論理づけられるのか興味はあるのですが、まだ輪郭はみえていません。やはり茂木さんの考え方を追跡してみましょう。やがてはっきりみえてくることでしょう。

問題の鍵は、等価性や流通性、換算性といったデジタル資本主義の概念的基盤にある。もともと、貨幣は、国家権力を背景にした強制流通力というインフラの下、世界のあらゆる場所に及ぶ流通性を持っていた。それがインターネットという物理的距離の制約を超えてデジタル情報が流通していく基盤の登場により、毒性の強い「ネオ貨幣」となった。(「欲望する脳」12 人間らしさの定義)

★茂木さんは従来の国家権力の庇護の下の貨幣を懐かしがっているのではありません。デジタル資本主義の下でも、貨幣は国家権力を背景にしています。ただ、その権力を悪用するチャンスが、デジタル資本主義の中では多くなってしまったということです。

★しかしこのデジタル資本主義の事態を多くなってしまったに過ぎないという楽観論的にみなすのか、新たな闇が広がるという冷静な見方をするのかは、ものの見方のわかれるところでしょう。前者はポスト・モダン的なフラット論ですね。なんでも差がないという権威をひきおろす考え方ですね。これはこれで、大事な発想ではあります。

★後者は、やはり権力をチェックする目は重要だとする考え方です。オールド・モダンのポスト・モダン的な装いを批判的に思考する考え方ですね。国家権力や近代的自我にこだわっているあたりは、まだトランス・モダンであるかもしれません。しかし、茂木健一郎さんの考え方からは、いずれにしても名門校の環境で学んだ雰囲気が伝わってくるものです。

[本間 勇人 Gate of Honma Note

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