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開成の生田先生の地理授業観②

開成の生田先生の地理授業観のつづきです。生田先生の「地理オリンピックの問題から地理の授業をとらえ直す」は、たんに日本の地理授業の見直しをするだけではなく、「地理オリンピック」に行くためにはどうしたらよいかという戦略が考察されています。モニタリングによるアンケート調査からまとめられているので、客観的なトーンで書かれていますが、出場のための意欲が伝わってきます。

★開成といえば、国際数学オリンピックをはじめ、物理、化学などの数々のオリンピックで、生徒たちが大活躍しています。地理オリンピックも出場してその実力を証明したいところでしょう。もちろん賞をとることが目的ではなく、オリンピック参加は、学びのインセンティブにすぎないのでしょう。

★しかし、参加への準備を読むと、地理オリンピックをレバレッジとして、日本の子どもたちの知の質を高めようという戦略が明らかになります。

(1)大会では英語を使用するので、地理用語を英語で読み・書きできるようにする。

(2)問題やフィールドワークは大会開催地に関連しているところが多い。来年の場合には、チュニジアだけでなく、北アフリカ、地中海沿岸という枠組みの地域理解が必要。

(3)地理オリンピックが問う地理の知識は、OECD/PISAで問う学びと同じものである。その意味では、Graphicacyの育成や問題追究型の学習・学び方の学習を、段階的に訓練する必要がある。

(4)日本地理学会は地理オリンピックのために実行委員会を設けたが、その活動の様子は一般には知らされていない。広報活動を通じて、地理・地理教育を広く振興する必要あり。

★(1)は、グローバリゼーションとしての学び、(2)は、フィールドワークとしての学び、(3)は、世界標準としての学び、(4)は、オープンマインドとしての学び。生田先生の地理を超えた、「学びのガイダンスの一般理論」を垣間見ることができます。この学びのガイダンス論は、公立の学校でこそ重要ですが、学習指導要領の改訂問題ではなく、テスト編集法や授業方法論の改革が喫緊の問題だということでしょう。

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