白梅学園清修は新しい教育ニーズのセンサー
★前回「21世紀の教育改革は、学習指導要領にあらず」で、教育の世界標準は思考ベース、創造べースであると述べました。文科省も2011年の新学習指導要領でそういう方向に持っていくのですが、4年間も変化を待てないという意見におされて、2009年から変えられるところから変えていくということにしたようですが、おそらく加速度感はないでしょう。しかし、大事なことは教育の変化を国民あるいは市民が望んでいる声が文科省にまで伝わっているということですね。
★その声ははたしてどんな声なのでしょう。知りたいと思っても、全貌を文科省が公開することはないですね。それでは、本当の教育改革はうまくいかないでしょう。ところがです。この声を直接聞くことができる学校機関があるのです。それは私立学校なんですね。私立学校を選択する場合、現状の公立学校のシステムやプログラムに不安を感じたり、満足できなかったりするからなのは言うまでもありません。
★ですから、この声を実現している私立学校は、人気も高いし、教育のクオリティも年々磨きあげられていくのです。逆にいえば、人気の高い学校では、教育内容それ自体に、教育ニーズが直接反映しているともいえるのです。特に新設校で人気がある学校は、もっともそのニーズを反映しているといえます。ですからそのような学校をリサーチすることで、21世紀の新しい教育がなんであるかがわかるというわけです。
★そういう学校で世の中が(当然私も)注目している学校が、白梅学園清修ですね。毎年学校説明会の参加者の数は増えています。柴田教頭先生によると、秋に行われる中学入試のための三大模擬試験でも、いずれも志望者登録の数が増えているそうです。
★また、11月に入って、今までの志望校をやめて、白梅学園清修を志望校にすると決断する保護者が増えたそうです。数学や英国研修について、生徒たちがプレゼンテーションしている様子を見て、知識ベースと思考(創造)ベースの教育プログラムがあることに気付いて、志望校を清修に変える保護者があらわれたということのようです。
★もちろん、少人数教育のメリットである、目配り気配りのいきとどいた教育は絶大なる魅力なのですが、保護者や受験生が求めていた新しい教育プログラムが実現されていることにも魅力を感じるようです。開設して2年目ですから、心地よい雰囲気を感じるだけではなく、教育の実践の成果も見ることができるのがポイントですね。
★しかし、こういう高感度な学校選択眼をもっている保護者は、説明会に参加するとかならず質問されるそうです。ですから、個別相談で、ていねいに回答する対話の時間をつくっていますね。だれが保護者と対話するかというと、柴田教頭先生が全部お1人でやります。
★受験生の保護者はほとんどすべて個別相談を申し込むでしょうから、年間100人以上と対話をするでしょう。しかし、この対話が大事です。たとえば、英国研修の時期が早いのではないかという質問に、英国研修の幅広い意義について回答することによって、白梅学園清修の教育のふところの深さを共有できるというのです。
★入学前にアイデンティティを共有する個別相談という対話のチャンスは、白梅学園清修の教育の質を高める大事な一期一会なのでしょう。だからビジョンマネージャーである教頭柴田先生が自ら対話を行うのです。これによって、白梅学園清修の軸はブレないし、俊敏に柔軟な対応がとれるのです。
★白梅学園清修の新しい教育のプログラムとステークホルダーとのコラボレーションのメソッドに、文科省は学ぶとよいと思います。白梅学園清修の中等教育の姿は、これからの公立学校の改革の大きなヒントになることは間違いありません。[本間 勇人 Gate of Honma Note ]
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