成長し続ける学校力[08]~中村中(5)
★成長し続ける学校力[07]~中村中(4)のつづきです。夜の中村中の空間散策に話はもどります。中1と中2のクラスの廊下に訪れたとき、美術の作品やキャリア・デザインの一環としてのワークがディスプレイされていました。
★美術の作品は表意文字としての漢字を活用したデザインです。漢字の意味からインスパイアーする想像力をデザイン化するわけですが、通り一遍の意味から生徒一人ひとりの個性を引き出すトリガーになっていますね。想像力は科学においても、人間関係づくりにおいても重要な才能です。それを引き出すプログラムが美術の中にあるのです。他教科に影響を与える芸術プログラムは、クオリティスクールを形づくる重要なポイントです。
★「切」という漢字のイメージの違いもなかなかおもしろいですね。2人の生徒の「切っているときの意識」が違うのが伝わってきます。1人はハサミという道具を使ってきちんと切り込みをいれています。破壊は次の制作のためのプランですね。一方、もう1人の生徒の「切っているときの意識」の感情の起伏は強烈です。シンプルさが、かえって破壊のすさまじさと破壊のあっけなさの両方を伝える効果を生んでいます。
★想像力には、エモーションがいったん脳を通過した後に生まれる感情をとらえる力があります。このとらえるとき同時に知性が働くのです。脳神経学的な学びのプログラムを美術の時間にトレーニングしているのですね。アントニオ・R・ダマッシオの「感じる脳」、ダニエル・ゴールマンの「SQ 生き方の知能指数」、ハワード・ガードナーの「未来を創る5つの精神」(ガードナーの邦訳はまだでていないので表題の訳は筆者による)の論理がここですでに実践されているのには驚きました。
★また女性は言語能力が男子よりすぐれていると言われています。女性の左脳が右脳よりも先に発達しやすい社会環境にあるというだけだと思いますが。ともかく、そういう脳差の社会環境を踏まえて、言語から右脳をトレーニングするプログラムが展開されたのではないでしょうか。昼間とはまた違い、夜のしじまの力のおかげで、表現空間からそんなふうに語りかけてくる体験は、実にすてきでした。 [本間 勇人 Gate of Honma Note ]
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