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成長し続ける学校力[09]~中村中(6)

成長し続ける学校力[08]~中村中(5)のつづきです。中1と中2の廊下には、キャリア・デザインの一環としてのワークの成果がありました。生徒一人ひとりが遠くに思いを馳せ、次の瞬間に我にかえって、目の前の一歩を踏み出すプランを立てたピースが、クラスのメンバー全員分集められて、ディスプレイされていたのです。

2 ★CAになりたいという夢が1つのピースに書かれ、そのためには今英語を得意になろうというふうにもう1つのピースに書かれているのですね。将来の夢は小説家、だから今は読書三昧がんばろうというのもありました。なんか自分の趣味をおもいきり正当化していて、ほほえましいですよね。

Photo_9 ★キャリア・デザイン・プログラムの大きな役目は、モチベーションをいかに内面から燃やせるかだと思いますが、毎年続けていけば、6年間で夢の輪郭がはっきりするのと、そのために今やっていることをPDCAの過程で軌道修正していけるので、かなり緻密なプログラムになっていると思います。

★しかも“100本”プログラムが同時に展開しているので、絵に描いた餅ではなく、実体験と脳内体験の統合過程が進みます。いったい誰がこんな緻密かつ大胆なプログラムを作ったのでしょう。小林理事長先生に聞くと「そりゃいつも未完のプログラムだよ。なるようになる。いやあ、収まるところに収まるものだろう。これだけ先生方が創意工夫しているんだから」という回答が返ってくるに違いありません。

★トップダウンとボトムアップの統合というか、調和というか、ハーモニーというかそういう循環がうまくいっている組織が機能しているということでしょう。このような組織が持続可能になるには、やはり常に創意工夫、未完の授業の追究に尽きるでしょう。それが成長し続ける学校力の糧になるのだと思います。

P.S.多くの受験産業のプロの方々が、学校を見るとき、教育やマネジメントの最前線の成果をきちんとつかって評価されることを期待します。自分の本や情報誌が売れることしか考えない編集になってきているのが中学受験情報誌の現状です。教育の中身について、世界標準のモノサシで解釈・評価することが、日本の教育の質を正当に取り出し、世界に発信することにつながるでしょう。それが回りまわって、日本の子どもたち、そして世界の子どもたちの生きる力に役に立つはずです。中学受験産業の社会貢献(CSR)を考える時代がやってきたのではないでしょうか。中村中の先生方の創意工夫、保護者の協力、生徒の活躍、そしてそれらの情報開示は、中学受験産業にとっては学びのフィールドです。私もいつも学びのチャンスをいただき、心から感謝しています。未来を創る「The授業」のミーティングと発想を巡らす教育空間の回遊散策、本当にありがとうございました。 [本間 勇人 Gate of Honma Note

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