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2008年を首都圏私立中学受験から見る[01]

☆12月23日実施のセンター模試から、どういう学校が人気があるのか、少しだけ確認してみましょう。すでに12月の1回目のセンター模試で傾向をみていますから、そう詳しく見る必要性はそれほど大きくはないのですが、念のため。

☆そして結論的に言うと、センター模試で学校選択の動向を見ることができるのは80%なんです。えっと思われるでしょうが、これはセンター模試自身がいつも表明しいることからもわかります。R4という偏差値は、合格確率80%を示すものですから、当然ですね。

☆逆にいえば、20%は不確実性(uncertainty)だとか誤謬性(fallibility)とか呼ばれる領域です。今まさに受験しようという6年生は、R4偏差値が十分達していても、不安だというのは、この不確実性や誤謬性があるからです。また、R4に達していなくても思い切って挑戦しようと思うのも、この不確実性や誤謬性があるからです。

☆しかし、もしもR3という偏差値を使ったらどうでしょう。この偏差値は合格確率50%なんです。不確実性と誤謬性は50%にもなります。知識と技術以外に、精神や根性がやっぱり受験には必要になるというのはこういうわけです。

☆さて、学校選択の動向については、どうでしょう。実はこれも不確実性や誤謬性は、当然ながらあります。全国中学入試センターが公表している志望校登録者数の情報は34人以上です。34人以上の入試校は、実はほぼ50%なんですね。

☆だから50%の入試校は、公表されていないのです。一般人がセンター模試のデータだけで、学校選択の傾向をみていくと、そこにおける不確実性や誤謬性は高すぎるんですね。ですから、自分の目で、足で学校を見て歩かなければならない理由があるのです。もっとも、他の模擬試験に関しても同様のことがいえるのですね。

0712200 ☆ですから、模擬試験はあくまで参考程度で、最終的には自分で選択校を決定することが重要です。200人以上志望者を集めた学校のリストを見ると、ほとんどがエクセレントスクールあるいはエリート校です。これらの領域の学校は、前者はクオリティをきちんと見える化している学校です。後者は、そこを見える化してはいないけれど、世にわかりやすい成果を数字で出している学校です。

Photo ☆この両スクールのエリアにある学校は首都圏私立中学の50%。50%は見えない。クオリティスクールとトラディショナルスクール。両種類の学校に行ってみると、どちらがクオリティスクールかトラディショナルスクールかは、すぐにわかります。

☆八雲学園、中村中(もっとも八雲学園、中村中はすでに見える化していて実質エクセレントスクールですが)、東京女子学園、白梅学園清修、宝仙理数インター、広尾、かえつ有明(一部の試験をみればエクセレントスクールに属しています)が、いかにクオリティの高い教育を実行しているかすぐに伝わってきます。

☆受験情報誌以外にも最近多くのマスコミが私立中学の情報を流していますが、信頼性の高い情報というのは、結局長い時間取材してレポートされたもののみですね。本来データのほうが客観性を持っているのですが、完全にオープンな組織がつくっているデータではないし、テストセンターとして長年正当性と信頼性を研究してきたメンバーで構成しているわけではないのです。3大模擬試験のデータは妥当性はあるけれど、信頼性と正当性は、学校選択者が自ら判断するしかないし、マスコミもそのことをもっと明確にして、信頼性と正当性の度合いを高める記事を載せる必要があります。

☆2008年、日本の教育が世界標準に追いつけるかどうかは、教育業界、受験業界全体がオープンな組織になるところから始まります。全国学力テストや模擬試験のオープンな活用ができるような仕掛け作りが大切ですね。それを促進するのに大きな力になるのは、マスコミの大きな役目です。デモクラシーの基本は言論の自由なのですから。

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