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PISA雑感[02] ブルバキとグロタンディーク

PISA雑感のつづきです。OECD・PISAのメソッドを考える際に、フィンランドの教育はたいへん参考になりますが、本当のところは、そうではないのですね。フィンランドの教育はニコル・ブルバキ(といっても個人を指す名前ではないのですが)の存在影響をそのまま継承し実現していると考えた方がよいかもしれません。

★オールド・モダンが支配している日本の公立教育からみれば、フィンランドの教育は「憧憬」なのですが、しかし、時代はニコル・ブルバキを1989年に静かに看取りました。ベルリンの壁が崩壊後、時代の思想や芸術、文化、経済・・・あらゆるもののパラダイムが変わってしまったのですね。その変化にOECD・PISAのメソッドが追い付いていないとも考えられるのです。

★だから、日本のみならずイギリス、フランス、ドイツ、アメリカも国際ランキングは上位にいないのです。日本はオールド・モダンとポスト・モダンの間を揺れ動いています。イギリス、フランスなどはポスト・モダンとトランス・モダンとアドバンス・モダンとの間で揺れ動いています。

★ところがフィンランドはトランス・モダンという安定したパラダイムで、つまりこれはOECD・PISAのメソッドのパラダイムで教育を形成しているのですね。だから、日本はOECD・PISAの考え方に少し遅れているし、英・仏・独・米などはだいぶ先を行っているのです。

★二つの世界大戦の間に生まれたニコル・ブルバキは、ナチに翻弄されながらも、いや翻弄されたからこそ、ヨーロッパ中を巻き込んだ活動として広がったのです。ピアジェもラカンもレヴィ=ストロースもバウハウスも、おそらくル・コルビジェも、デュシャンもシンプルな構造主義をベースに理論を構築していったのです。

★がしかし、ニコル・ブルバキに19世紀末に最も影響を与えたグロタンディーグによって、構造主義のアキレスを発見されてしまったようです。しかし、彼はその後のニコル・ブルバキの成長を促すことなく、ピレネー山中に消えていったということです。

★構造主義のあとは、はたしてポスト・モダンなのか、アドバンス・モダンなのかその回答は私たちが探さねばなりません。PISAの問題提起は、フィンランド教育をモデルにしよう!ではなかったのですね。日経BP社の翻訳本「ブルバキとグロタンディーク」は、混迷の時代である今だからこそ書かれたのでしょう。久々に日曜日一日中読書しました。非連続圏と連続圏をどう結びつけるか、いやその区分としてのレイアーをどう分類するか、脱集合論の話は視界を広げますね。 本間 勇人 Gate of Honma Note 

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