PISA2006結果から[02]10歳の壁を乗り越えるために
★PISA2006結果から[01]のつづきです。読解リテラシー総合国際ランキングのベスト3国は、順番に韓国、フィンランド、香港。日本は15位。前回同様、習熟度レベルごとに占める割合を比較してみました。
★すると日本のみがレベル4からガクンと比率が下がります。日本の15歳の生徒がレベル3からレベル4に飛べていないという結果が一目瞭然ですね。
★このレベル3からレベル4へのシフトは実は9歳の壁とか10歳の壁とか呼ばれている壁の乗り越えのことを意味します。ですから日本の15歳の生徒の69.1%はレベル3からレベル4にシフトできていないということですね。つまり9歳あるいは10歳の壁を乗り越えられていないということになります。
★レベル3までは体験したり体得した知識を整理する段階です。事実を確認したり分類するまでのレベルですね。しかし、この集積した知識を整理するあるいは分類するときに「補助線」を引けるかどうかがカギですね。知識をつなぐときにもう一つ別の言葉や表現を発見するということです。これが具体から抽象へ飛ぶことを意味します。抽象的に考えることができるということは主体的になるとか能動的になるとか、自分で考えるとか、リーダーシップを発揮するとかということと密接な関係があるのです。
★なんといっても、体験といのはおもしろいだけではなく、つらさを経た体験もあるのですね。これを乗りこえる体験が、ものごとを調整したり解決しようというコツを意識にのぼらせます。そして、これが「経験値」に変容するわけですね。子どもの中で「体験」が「経験値」というアナログからデジタルに変化するのです。
★勉強だけではなく体験が大事だとよく言われるわけですが、体験を「経験値」にシフトする勉強が本当は必要なのですね。もちろんこの勉強は教室の中だけではできません。
★さて、このレベル3からレベル4へシフトすることの重要性については国際教育研究家岡部憲治さんの著書「世界標準の読解力 OECD・PISAメッソドに学べ」(白日社 2007)でも触れられています。そしてそれを乗り越えるオカベ式『かんがえ型』は、大いに参考になるでしょう。 本間 勇人 Gate of Honma Note
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