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PISA2006結果から[04] 科学に対する生徒の意識

PISA2006結果から[03] 科学的リテレラシー・レベル3の意味のつづきです。日本の15歳の子どもたちは、なかなかレベル3からレベル4にシフトできていない、つまり9歳(10歳)の壁が越えられないまま15歳を迎えている可能性があるのではという仮説をたててきました。具体的な知識群を、「補助線」「比喩」「モデル」に「置き換える」という抽象的な思考にシフトできていないのではないかという仮説ですね。

★「生きるための知識と技能③ 2006年調査国際結果報告」(国立教育政策研究所編)には、興味深いアンケート調査の報告がされています。生徒の科学に対する認識についての調査です。たとえば、 「モデルの使用や応用を重視した理科の授業に関する生徒の認識」について次の5項目について質問しています。

A)先生は理科で習った考え方が、多くの異なる現象に応用できることを教えてくれる
B)先生は、科学の考えが実生活に密接に関わっていることを解説してくれる
C)先生は、理科を学校の外の世界を生徒が理解する手助けとなるように教える
D)先生は技術的な応用を例にして、いかに理科が社会生活と密接に関係しているかを解説してくれる
E)生徒は、理科で習った考えを日常の問題に応用するように求められる

06pisa ★日本と科学的リテラシー総合国際ランキング3位までの国の比較をグラフにしてみました。生徒の認識ですから、フィンランドなどは、質問の「先生が~してくれる」とか「先生が~教える」という文言に反応して、選んでいないケースも考えられますから、このアンケートと科学的リテラシーの相関を出すのは難しそうです。

★しかしながら、日本はあまりにOECDの平均からかけ離れすぎています。日本の生徒は「モデル」だとか「比喩」だとか「補助線」だとかいう概念を意識しないまま理科の学びの環境に置かれている可能性が大ですね。 本間 勇人 Gate of Honma Note

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