PISA2006結果から[05] 数学の習熟度レベル3の意味
★「PISA2006結果から[04] 科学に対する生徒の意識」のつづきです。科学的リテラシーも読解リテラシーも、日本の生徒の習熟度レベルは3から4にシフトする段階でうまくいかなくなっています。数学的リテラシーはどうでしょうか。同じようにグラフにしてみました。
★数学的リテラシーの総合国際ランキングの1位は台湾、2位はフィンランド、3位は香港、4位は韓国、日本は10位。5つの国を比較してみたところ、やはり習熟度レベル3から4にシフトするところで、日本の生徒は躓きはじめていますね。
★数学的リテラシーの習熟度レベル3の定義は、OECD/PISAによると、
連続的な計算などの明確に述べられた手順を実行すること。簡単な問題解決方略を選び適用すること。異なる情報源を基に表現を解釈し用い、それから直接推論すること。自分の解釈、結果、推論を報告する短いコミュニケーションを発達させること。
★「連続的な計算などの明確に述べられた手順を実行すること」は「順序」。「簡単な問題解決方略を選び適用すること」は「構成」。「異なる情報源を基に表現を解釈し用い、それから直接推論すること」は「等価」。「自分の解釈、結果、推論を報告する短いコミュニケーションを発達させること」は「構成、近接、順序、等価」すべて。こんなふうに各センテンスを置き換えることができますが、この「構成、近接、順序、等価」というのは、さらに「構造」あるいは「モデル」というようなキーワードに置き換えることができます。
★つまり、数学的リテラシーも、レベル3の段階というのは、具体的な知識や手続きを「モデル化」「構造化」に収れんする準備段階です。レベル3から4にシフトするのは9歳(10歳)の壁を乗り越えるステージを示唆していると考えられます。 本間 勇人 Gate of Honma Note
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