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PISA2006年度結果に対する反応

★昨日夕刻(パリの午10時)に、2006年に実施されたOECD/PISAの結果が発表になりました。日本の結果はといえば、科学的リテラシー、数学的リテラシー、読解リテラシーすべてにおいて国際ランキングがさがりました。

産経新聞(2007年12月4日)によると、渡海紀三朗文部科学相などは相変わらず「ゆとり教育」の失敗を挙げるなどの反応を示していますし、文科省も朝日新聞(2007年12月5日)によると、

今回受験した生徒は現行の学習指導要領が施行された02年春に小学6年だった。文科省は順位が落ちたことを「課題として受け止める」とし、指導要領の改訂で理数の授業増や各教科で言語力の育成などを盛り込む方針。これが、調査で浮かんだ課題への対策の中心となる。

★しかし、マスコミは、前回2003年度の発表の時に比べると、かなり冷静にうけとめているようです。私も「PISA2006年度調査 日本は理科離れ大国で、「一喜一憂」する必要はないですよと述べましたが、同じようなトーンの反応が増えたように思います。

★日経新聞(2007年12月5日)で、苅谷東大教授は、PISAのための勉強などというばかげた動きにならないようにと指摘したり、渋谷教育学園理事長の田村先生は、日本はPISA型の学習環境がなかっただけ、プログラムの改善で巻き返しは簡単だと語ったりしています。

★また、同紙は、フィンランド、香港の考える時間を盛り込んだ学習を紹介したり、PISAの問題例を早速紹介したり、ランキングスコアだけで今回の発表に対して反応しているわけではない点が評価できます。

毎日新聞社説(2007年12月5日)も、次のような冷静な論調で書かれています。

前回のOECD調査で読解力の順位が下がったことで、ゆとり教育批判がにわかに強まり、教科学習を再び増やす学習指導要領の改定決定や、全国学力テスト実施に結びついた。ゆとり教育の手法や成果、OECD調査結果との因果関係について十分な検証が行われないまま、「ゆとりが学力低下の元凶」論が高まった面がある。

今回の結果で、実験を工夫するなど理科教育の改善が進むことは期待したい。しかし、「やる気の薄さ」はこの分野に限ったものではなく、社会全体の問題、これからの日本の幅広い人材育成で避けて通れない問題、ととらえる視点と覚悟が必要ではないだろうか。

単なる授業量増加が即効薬ではない。意欲、動機づけ、興味、関心などは、なかなかつかみどころがなく、これまで本格的に掘り下げて取り組みにくかった問題だが、もう先送りにはできない。

★ランキングでいえばあまりに好調なフィンランド。新しい試みというより、市民全員がリベラルアーツ的学びを受けられる環境にあるからです。国民の人口が600万人に満たないし、社会福祉制度も日本と違います。PISAの報告は大いに参考になりますが、これを利用して日本の子どもたちの学びを恐怖に変えないで欲しいですね。

★学力低下巻き返しという抑圧的風潮が、いじめや不登校増加の一因である可能性もあります。PISAの結果を針小棒大に扱うのだけはみんなで避けましょう。

★ただし、高校時代に1年間フィンランドに留学した経験を『受けてみたいフィンランドの教育』(文芸春秋)につづった立教大の実川真由さん(19)のコンセプトは肝にめいじましょう。

「生徒に対する教師の要求が非常に高い。PISAの問題に出るような自分の頭で考えて表現する授業をいつも行っているので、得点が高いのだろう。日本の教育が極端に劣っているとは思わないが、フィンランドの方が教育の質は高い」と指摘する。(産経新聞 2007年12月4日)

[本間 勇人 Gate of Honma Note 

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