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PISA 2006結果から[07] 携帯メールがレベル3を超える契機に

PISA 2006結果から[06] 習熟度レベル3を超えられないコトの意味①のつづきです。産経新聞(12月14日8時1分配信)によると

携帯電話を頻繁に使っている小学生の方が、持っていない小学生よりも学力調査の成績が良いことが13日、国の調査をまとめた東京都教育庁の報告書で明らかになった。・・・携帯電話での通話やメールを「ほぼ毎日している」児童と、携帯電話を「持っていない」児童の平均正答率を比較すると、国語A・算数A(知識問題)、国語B・算数B(知識の活用問題)の4種類の学力調査すべで、「ほぼ毎日している」児童の正答率が、0・5~3%も高かった。・・・中学3年生でみると、「持っていない」生徒の平均正答率が「ほぼ毎日している」生徒よりも、0・9%~6・2%も高かった。

★分析データは、今春文科省が実施した「全国学力テスト」の調査によるものですが、これは、今までPISA2006の結果を見てきた経緯からいうと当然ですね。

★そもそもPISA型「全国学力テスト」の問題はレベル3までが中心ですから、携帯電話で毎日メールを行っている生徒のテストのスコアがよいのは当り前です。理由は3つ考えられます。

①携帯の操作が簡単にできるというのは、単純に機能がわかっているレベル2ではないのです。受発信という双方向性機能を知っているということですから、これはレベル3です。携帯電話という物質から想像性という広がり、つまり抽象的な脳の使い方をしているのですから。

②携帯を子どもに持たせる保護者のレベルが高い。携帯の使い方によっては危険性があるが、もろもろの事情を自ら判断して、携帯を活用する方が危機管理ができるという総合判断ができる保護者の姿勢は、子どもの学びのレベルを引き上げる環境を作っているはずです。

③なにより、話をすることやメールをすることは、短時間で行うのですから、具体的なコンテンツを要約しなければなりません。顔文字などつかたっりしていると、より抽象化しなければならないわけですからレベル3からレベル4にシフトする学びを毎日行っていることになります。

★携帯の効用と危機管理は別の問題です。レベル2の知的枠組みだと、別の問題だと支持されないと、つまり世論に支持されないと、危ないから携帯は持たせないという従来の考え方から抜け出ることができないかもしれません。 本間 勇人 Gate of Honma Note

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