中村中の学び
★ 「成長し続ける学校力[07]~中村中(4)」で、“100”プロジェクトを行っている最中に、環境について学ぶ有志のチームが結成され、すぐに活動が開始されたというニュースを紹介しましたが、このチームの活動の様子について、梅沢教頭先生からこんなメールをいただきました。
中学2年生が立ち上げた環境チーム「CFEP(change future ecology project)」は、本日(2007年12月16日)東邦大学薬学部の秋本先生をお招きして「ダイオキシンって、何?」という特別講義を受けました。「質疑応答」がどのくらいでるのか、その質はどんなものなのか多少心配しましたが、杞憂でした。生徒一人ひとりが秋本先生の話に耳を傾け、自分でじっくり考えたうえで生まれてきた問いかけは、やはり素晴らしいものでした。
★この梅沢先生のメールには、中村中の学びの特徴があらわれています。有志のプロジェクトチームができ、先生によってサポートされるという点です。オープンでボランタリーな雰囲気があるということですね。
★そしてその雰囲気が生まれるのは、教師の指導というかコミュニケーションの方法論が多様だということです。ティーチング、コーチング、ファシリテーション。この3つを時と事情と場合によって使い分けしています。今回梅沢先生はファシリテーターとして役割を果たしたのでしょう。
★さて、秋本先生の講義については、こうあります。
①「プロメテウスが人間に火とダイオキシンを与えた」という導入から入りました。ゼウスはプロメテウスを罰するために、山の頂に縛り付け、毎日大鷲に肝臓を食べさせるという苦しみを与えた、ということです。キーワードは「火」「罰」「肝臓」でした。
②その後講義は、ダイオキシンの毒性・種類・毒の強さ・どうやって体内に入ってくるか・1日で体内に入る量・国による違い・ゴミ処理方法・ダイオキシンを作らない工夫・・・・と1時間続きました。
★ここまで読んで、プロメテウスのギリシャ神話に環境問題のメタファーがあるなんて、ワクワクするような講義だし、こういうメタファーをそれぞれ生徒が自由に読み解くチャンスを作るとは、やはり中村中らしいと感じ入りました。さて、生徒のみなさんはどういう質問をされたのでしょう。
③質疑応答には20分程度時間を取っていましたが、生徒たちからは多数の質問が続き、40分のやりとりとなりました。質問の中には「マスコミの表現をどうとらえるべきか?」というものまであり、生徒の真剣さが伝わってきました。全部で100分の授業となりましたが、分かり易い先生のお話しに引き込まれてあっという間の時間でした。質問の例としては、次のようなものがありました。
1.何故ギリシャ神話にダイオキシンを想像させるようなことが書かれていたのか?
2.1日で空気から取り込まれるダイオキシン量は?
3.ダイオキシンを何かに使うことはできないのか?
4.過去に排出されたダイオキシンを集められないか?
5.東京都と他県ではゴミの収集方法(分別)が違うが何故か?
6.マスコミの報道をどのように受け止めるべきか?まだまだ多数ありました。
④秋本先生からは「大学生でも90分以上をあれだけ集中できないよ」「中学2年生の質問とは思えないのもあれば、中学生らしい素直な疑問もあって良かった」とコメントをいただきました。
★環境問題そのものについての探究心と環境問題に対するマスコミの表現の危うさがさらに環境問題をつくるのではないかというセンスを持っている中2の生徒の様子がわかります。どんなレポートができるのでしょうか。今から楽しみです。
★それから忘れてはならないことは、1人ひとりの発想を支えるのは、教師だけではなく、生徒たち自身によるチーム力であるということです。梅沢先生は、メールをこう締めくくっています。
また、司会・会場設営・ビデオ担当・カメラ担当・書記担当の生徒たちも頑張っていて、これからのチーム運営が更に期待できる「第一弾特別講義」でした。
★チャンスがあったら、撮影されたビデオを拝見したいものです。今後のCFEPのみなさんがますます活躍されるのを期待しています。 本間 勇人 Gate of Honma Note
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