2008年問題<01>
☆ここのところ「2008年を首都圏私立中学受験から見る[01]」というエッセイを書いています。5回目までで抽象的な問題を、さしあたりまとめることができたと思います。
①学校選択にあたり、もはや投資型判断か消費型判断かによって、意思決定がなされているわけではないのではないか。
②投資といってもシグナル理論や人的資本だけでもうまく説明できないのではないか。
③内生的成長理論や外部経済の要因を加えても釈然としない。それは、パラダイムや前提が20世紀型人材論で、21世紀型人材論に拡大されていないからではないか。
☆このように、仮説をまとめてみましたが、結局、時代認識とかパラダイムとか背景とかいう土台の部分を検討しないで、判断基準を見定めようとしても、それは無理だという当り前のところに立ち戻ったわけなのです。
☆教育、特に首都圏の私立中学受験という現象は、良かれ悪しかれ、日本の政治・文化・経済などの未来が最も希求されている場です。この場で受験生や保護者、教師、塾などのステイクホルダーがどのような言動をとるのか、その現象を分析することによって、日本の抱えている問題の本質とその解決策を講じることができるはずです。
☆それなのに、従来は私立中高一貫校をシグナル理論という名のレッテル貼りや20世紀型の人的資本論といいいながら、教育にお金をどれだけかけているかというイビツナ見方だけで把握してきたため、大学進学実績や偏差値というスコアに依存する分析しかされてこなかったのです。
☆そのため、OECD/PISA、GDP、食生活、健康生活、建築空間生活、人口問題、平和問題といったクオリティ・ライフを形成する条件が悪化したり詐称されたりしているにもかかわらず、ネガティブな雰囲気を一掃できないでいるのです。すべてのスコアが右肩下がり、あるいは基準を満たしていないどうしよう。そうだ学力をアップすればよい!しかし学力アップの方法は従来のままだから、沼にはまった自分の体を、自分の髪の毛をひっぱって抜けだそうとしているようなもので、悪循環・・・。いったいどうしたらよいのかという暗い雰囲気が新年を迎えても漂っています。
☆この雰囲気を一掃するためには、時代認識の誤謬性がどのくらいなのか考えてみる必要がありますね。この時代認識は、ポストモダンという認識ですが、どうやらそれは誤謬性の度合いが高いのではないでしょうか。
☆今日の日本の現状をポストモダンだと見ている人は大変多いし、教育に大きな発言力を持っている東大出身の見識者はたいていこの立場です。そしてその仲間たちもそうですね。そのポストモダンの象徴は、教育にはおよそ関係ないと思われているアキバ文化。しかし、その実態は学校そのものの文化とかなり重なる空間です。それゆえ現象的にはポストモダンなのでしょうが。。。
☆マンガやアニメ、キャラクター、パソコン、モバイル、ゲームなどの道具文化を学校はどのように対応したら良いのか日々考えているぐらい、学校で子どもたちは教師以上に、これらの道具を軽やかに使いこなしています。
☆学校では、教師と生徒との間で、葛藤もありつつ認めざるを得ないというジレンマ状況が普通の風景なのでしょうが、かといって、学校生活の中で、これらの道具を無視することはもはやできません。企業は、学校に比べかなりセキュリティのビジョンがはっきりしているし、就業規則やコンプライアンスのアグリメントなどで規制ができています。
☆ところが学校は、きめ細かなルールを作れないので、許可するかしないかの二者択一か、全面的に認めてしまうかどちらかというのが現状でしょう。法律というより道徳で対処しようとしますからなおさらです。学校の法化現象が増えているところからも、学校の対応のまずさがわかります。
☆家庭は父親の影響はかなり大きいので、企業と同じような状況になっているところが多いと思います。もっとも契約とかによってではなく、父親の考え方とか方針とかいうもので規制されます。それこそが家庭内で紛糾する原因でもありますが。
☆さて、家庭、学校、企業では、これらの道具は結果的に規制を被るのですが、アキバにおいては、比較的その規制はないわけです。この規制が相対的にないアキバを家庭や学校、企業がどう見るかが、日本の現状の時代に認識になるのです。そしてこれが誤っていたとしたら、家庭も学校も企業も、葛藤やルール付の舵を取り直さなければならないのです。この舵取りの見直しが、2008年問題です。学校はアキバ文化をどうとらえるのか。見識者はどうとらえるのか考えていきたいと思います。
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