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首都圏 中学受験 2008 [01]

☆首都圏中学受験が始まります。関西エリアでは4日から始まっていますし、首都圏でも、推薦入試は千葉エリアですでに12月に実施されています。2月半ばまで、日本列島は、中学受験、そのあとは高校受験、大学受験と3月いっぱい受験シーズンですね。

☆受験というのは、①選択判断の価値意識の差異②学びのパラダイムの差異③学びの方法の差異が現れる場です。これら3つは、実は相互に関係する事柄で、これらの関係を見ていくことによって、時代の認識や方向性、求められる新しいライフスタイルなどが見えてきます。経済的な側面からは、日本のクリエイティブ資本や社会関係資本の成長の是非もまた見えてくるでしょう。

Photo ☆このようないくつかの視点を確認するために、4つ学校選択の分類をしています。次のような≪12の学校選択指標≫を集計して算出しているものです。

(1) 自己実現プログラムの自覚的実行力
(2) 教師の創造的コミュニケーション能力
(3) 時代の変化への対応力
(4) 本格的論文編集指導力
(5) プログレッシブな授業構築力
(6) 総合学習と他の教育活動の有機的結合力
(7) 現地校で耐えられる英語教育力
(8) あらゆる教育活動でのIT活用力
(9) 他教科に刺激を与える芸術教育力
(10) キャリア・デザインとしての進路指導力
(11) 生徒の潜在能力を引き出す教育空間デザイン力
(12) 説明会の表現力(教育理念の具体的展開のプレゼン)

Photo_2 ☆こうして4つに分類した中で、クオリティスクールは、理念を現実化する質の高い構想力をもった学校で、ここ数年の新設校に多いパターンですね。クオリティスクールの課題は、コミュニケーションという当り前の本質にこだわるので、なかなかそのよさが伝わらず、実績に関して即効性がないという点です。実行力と即効力を混同してしまうのが、目先の利益を選択する人たち(消費者だけではなく生産者も、こういう考え方をする人が多いのが世の常です)の嗜好性です。

☆各クオリティスクールの戦略として、「①教育の質を重視する人だけ集める。②目先の利益を考える人の中にいる持続可能性や予見可能性も重視する人も巻き込む。」というような2つの経営者の意志決定があるはずです。どちらの選択判断をする学校が多いのか、受験生の集まり具合で、おおよそ見えるでしょう。

☆エリートスクールは実行力はあるわけで、実績主義ですが、その実績の出し方、過程の中に、倫理的―審美観が生まれている場合があります。このような学校は本来エクセレントスクールなのですが、能書きなんてどうでもよい、大学実績がでればよいのだという雰囲気が支配していて、そのエッセンスを見える化していない場合があります。現場の先生方が倫理的―審美観を持って実績をだしているエリートスクールもあるし、経営陣はそういう感性を持っているけれど現場で無視されているエリートスクールもあります。

☆エクセレントスクールは構想力も実行力もありますから、当然倫理的―審美観が浸透しています。経営陣は必ずこの感覚をおさえています。現場では中にはとんでもない教師もいますが、そのような教師のある才能を受け入れる寛容な環境があり、全体として、雰囲気はとても良いという学校です。経営陣の質が変われば、エリートスクールになったり、トラディショナルスクールにシフトしますが、名門校としてのエクセレントスクールは持続可能性のほうが高いですね。

倍率をみている限り、埼玉エリアでは、今のところエリートスクールの人気が高いですね。エクセレントスクールである春日部共栄がどこまで孤軍奮闘するか期待がかかります。千葉エリアでは、エリートスクールは相変わらず人気が高いのですが、エクセレントスクールとしての昭和秀英が今年も応募者を増やしています。同じ日に入試の渋谷教育学園幕張の方は応募者減(態勢に影響はないです)ですから、市場の原理がうまく働きだしたのではないでしょうか。特に千葉県立千葉の中高一貫校は、公立学校でありながらエクセレントスクールの様相を呈していますから、千葉の中学受験の市場は、倫理的―審美観を背景にした健全で刺激的、したがってクリエイティブ資本や社会関係資本を生み出す人材輩出の環境が整備される可能性が高いですね。

☆東京・神奈川エリアの出願締切は、まだまだこれからです。もう少し集計の全体像がみえたら、コメントしたいと思います。

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