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首都圏 中学受験 2008 [03]

☆神奈川エリアの中学入試の応募はまだすべての学校で始まったわけではありませんが、10日現在で、すでに横浜富士見丘の2月1日入試は昨年比113.4%で、予想通り驀進しています。

☆その理由はここで説明する必要はもはやないし、多様で複合的ですが、なんといってもカリスマ校長豊岡先生の戦略的リーダーシップの力が大きいでしょう。校長が変われば学校が変わると言われるときがありますが、まさにその典型例ですね。

☆豊岡校長は、長い間、サレジオ学院の教頭職につかれていましたが、同学院も豊岡先生の広報戦略でずいぶん変わりました。10日現在の応募者の状況も、浅野、栄光、鎌倉学園とともに順調に集まっているようです。

☆しかし、横浜富士見丘のように爆発的イメージがありません。神奈川エリアの男子カトリック校の中では、栄光、聖光についで3番目の学校というイメージが定着しています。実にここが不満です。私立中学入試のマーケットは、高校入試と違って、公立学校が配分してくれるわけではないので、すべて塾に依存しています。しかし、塾は民間ですから、市場の原理で動きます。

☆私立学校の経営陣は、教育と経済のバランスを戦略的に構想できるリーダーと教育と政治のバランスを戦略的に構想できるリーダーとにざっくり分けられ、たいていはどちらかなのですが、豊岡先生は、戦略的に教育と経済と政治のバランスを総合的かつ戦略的に構築できるリーダーの一人です。

☆ですから、塾という市場を尊重しつつ、塾に迎合することはなく、政治的には活用することができます。だからクオリティスクールだし、いずれエクセレントスクールにシフトするでしょう。ただし、豊岡先生が今実行しているエンパワーメントがうまくいけばです。現場の教師は豊岡先生ほどステイクホルダー戦略ができていませんから、自前主義の方もいるでしょう。これはどこの学校もそうです。ただ、そういう先生方を、教育と経済と政治のバランスを戦略的に構想できるようにトレーニングしたりマネジメントしたりしているのが豊岡校長です。

☆今後この学内の動きがうまくいけば、神奈川県の女子私立学校のクオリティスクールチャートは大いに変わるでしょう。そのとき豊岡先生は、自分の学校だけではなく、神奈川エリアの女子のクリエイティブ資本を形成した功労者になります。先生自身はそんなのは関係ないと思っているでしょが。

☆さて、一方同じような土壌が豊岡先生によって耕されているはずのサレジオ学院ですが、3番手で甘んじているのが気に入らないですね。栄光も聖光も、大半は社会貢献ベースのエリートが多いのですが、一方ではエゴ・ベースのエリートも多いと思います。生徒より教師のほうがそうかもしれません。こういうカオスや矛盾をかかえながら、学校を経営していく苦労が伝わってきます。

☆しかし、サレジオ学院にはそれがありません。学校経営している神父さん集団は、戦略的リーダーであるよりも改革型リーダーであるはずです。まさか学内改革のリーダーシップを発揮して満足しているはずはないでしょう。カトリック・ミッションはそんな狭いものではないはずです。聖光の場合、校長先生は神父ではありません。にもかかわらず、カトリック使命に燃えていますし、豊岡先生同様に、教育と経済と政治に関して鋭いバランス感覚を持っています。

☆それに比べ(本当は比べる必要はないのでしょうが)、サレジオ学院の経営陣である神父さん集団は、改革型リーダーシップを本気で発揮していないですね。人的資本論やシグナル理論を超えたクリエイティブ資本を形成し、広めていくという改革型リーダーシップに挑戦すべきです。塾には迎合していないのですが、栄光に比較して、超然としていないのが気になります。

☆才能にあふれた生徒がたくさん入ってくる環境があるのだから、もっとタレントを引き出す内発型のプログラムを組むべきでしょう。それからまずは入試を3回にするとよいのでは。2月1日は募集人数を80名に減らします。2月4日は50名にします。するとあと30名を募集する必要がありますから、2月2日か2月3日に3つ目の試験を設定します。

☆そうすれば、聖光、浅野を揺さぶることになるでしょう。ならなければサレジオ学院は、結局塾が構想するチャートに便乗していたということが証明されるだけです。

☆それから国語の入試問題を新しい入試の時には変えるべきですね。もっとタレントを開発する読解リテラシーの問いを開発すべきでしょう。あまりにもテクニカルで、思考の本質に迫る問題が出題されていませんね。栄光と麻布の間くらいの読解リテラシーのレベルを測れる問題作りが必要です。入学してくる前からタレントが開発されてくる仕組みをサレジオ学院は作らなければどうしようもありません。

☆聖光の国語の問題は、むしろサレジオ学院に近いのではないかと反論されるでしょうが、それは中学入試の仕組みを全く理解していないということを露呈するよなものです。

☆聖光は、2月2日が第一回目の入試です。2月1日に麻布や慶応普通部、駒場東邦、桐朋を受験した生徒が受けに来るのです。かりに聖光の問題が模擬試験のようなスタイルでも、2月1日の受験校の問題は、記述をベースにした批判的思考や創造的思考を前提とした問題を出題していきますから、そこでトレーニングされて聖光に入ってくるのです。併願による他校のリソースをうまく使えるのです。

☆ところがサレジオ学院は2月1日から入試があるし、2月4日の入試は、聖光と芝とぶつかります。併願による他校のリソースをうまく使えないのです。だから自らその部分を強化しておく必要があります。

☆そんなことしたら塾の先生方が、そのレベルの生徒を教えるのはたいへんだから、今までどおりにしてくれというかもしれません。生徒のタレントが開花する状況をつくるのが塾の使命ではなく、合格することが第一ですからと。志の低い、倫理―審美観なんて関係ないという塾関係者(そうではない志の高い塾関係者もたくさんいますからご安心を)に出会うと、サルトルの「嘔吐」を思い出します。子どもの実存を無視するのですからね。サレジオ学院はこのような状況を突破する改革型リーダーシップを発揮する神の計画があるはずです。もっとも神の計画は知る由もない私なので、この願いは無視されるのがオチでしょうが・・・。ともあれ、私の願いと期待が聞き届けらることを祈りたいと思います。栄光は父と子と聖霊と、そしてサレジオ学院に。初めのように今もいつも世々に至るまで・・・。

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