首都圏 中学受験 2008 [06]
☆フェリス女学院の出願が始まったところで、中間集計をしてみましょう。神奈川エリアの女子選択校(女子校・共学校)の総応募者数(200人以上)の多い順にリスト(2008年1月12日現在)をつくってみました。複数回数、帰国入試などの応募者をすべて加算した数字ですから、出願者ののべ数です。実受験者のような数字は、言うまでもなく、まだまだわかりません。
☆ただ、これで2008年の中学受験で勢いのある学校がどこかはわかります。横浜富士見丘や横浜女学院は、午後入試や入試回数が多いので、応募者総数は膨らみますが、この膨らむという勢いがあることは認めなければなりません。
☆そうすると、鎌倉女学院、横浜共立、洗足学園は、入試回数も少ないですから、それでここまで応募者を集めているというのは、ただただすごいとしか言いようがないのです。しかし、私が注目したいのは、神奈川学園と聖園女学院です。このポジションは、相当がんばっていますね。両校とも決して広報活動がうまい学校だとはいえません。
☆図を参考にして考えれば、鎌倉女学院のリーダーはかなり現実志向の持ち主です。見えやすい成果主義者です。そうでなければ、急激にここまで伸ばせなかったでしょう。かつての洗足学園の校長(今の前田校長先生はそのときの教頭です)のような強引なカリスマ性と同調する意気投合する世間の人は多いですよね。田中角栄のようなキャラが好まれやすいのと同じ感覚です。ヒットラーもそうですね。極端な言い方になってしまいましたが、横浜富士見丘の豊岡校長もこのタイプのカリスマ校長です。
☆同じカリスマ校長でも、世田谷学園の故山本校長先生のように、理想的なことは現実的、現実的なことは理想的という二兎を追うリーダーもいます。現在の洗足の前田校長や桐光の伊奈校長のリーダータイプは、この類型に属すると思います。
☆そういう意味では神奈川学園と聖園は、理想主義的なベクトルが強いですね。にもかかわらず、これだけの応募者を集めているというのは、オープンな組織だからでしょう。受験生や保護者に、教育の成果ではなく、教育のプロセスを見える化する努力をしています。これは広報の戦略・戦術というより「もてなし」の徹底ですね。「もてなし」も戦術ではと思われるかもしれませんが、両校のもてなしは、人間どうしの絆を大切にする共感力という品格がベースです。売れればよいという戦略・戦術がベースにはなっていません。
☆だからといって、経営感覚がないかというとそれは違います。古くて新しい名門校の戦略です。広報をしないという戦略です。フェリス女学院、湘南白百合、横浜雙葉は、一回しか試験がありませんから、総数で比較することは本当はできないのですが、逆にそれでもこのポジションです。3校の募集戦略こそ広報をしないという広報戦略の典型例です。
☆湘南白百合の柳先生の広報力はすさまじいと聞き及んでいますが、それは広報力ではないのです。表現力なのです。湘南白百合の教育のプロセスや教育の質という見えにくい本質部分を10分で、聞き手にイメージさせる言説能力が極まりなく高いのです。
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