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ホンマ ハヤト: 首都圏 中学受験 2008 [17]

☆ここのところ中学受験における2008年問題とは?をウダウダ考えています。従来、学校や教育、受験や入試を分析したり取材したり記事にしたりする際に使われてきた言説・表現コードは階層コードでした。中学受験も例外ではなかったのですね。私も含め(部分的には抗ってきたものの)、中学受験を分析する教育研究所や情報センター、受験雑誌で使ってきた言説コードは階層コードに一致するものばかり。

☆大学進学実績や本来の使い方とは違う偏差値は階層コードを象徴する表現ですね。しかし、これでは新人類世代の親とその子どもたちの生活と教育についてうまく語れない現状がでてきたのですね。

☆だから、新人類世代の生活感覚に合う分析コードで語らざるを得ないというのが中学受験における2008年問題だと思います。宮台真司さんやその仲間たちの多くは新人類世代の言説コードで語ります。階層コードから世代コードへというシフトを明確に認識して語っているからです。これはモダンからポストモダンへ、カルチャーからサブカルチャーへ、モノからコトへという対照関係に重なります。

☆しかも宮台さんや東さん、北田さんなどは中学受験組で、サブカルチャーは東京の私立中高一貫校の役割が大きいと考えている節があります。ですから宮台さんたちの分析コードや道具を活用しながら、中学受験を分析する新人類世代のライターや教育研究所、情報センターがそろそろ出現することでしょう。

☆しかし、宮台さんたちは決して世代コードだけで語ろうとしているわけではないのです。分析はしていますが、その結果別のコードを模索しようという段階だと思います。しかし、世間というのは、階層コードか世代コードかどちらかで語ります。相原博之さんの「キャラ化するニッポン」がわかりやすいのはそういうわけです。

☆また宮台さんたちは、社会学といっても、廣松渉を取り巻く現代思想の関係性を分析したうえで、独自の社会学理論をつくっていますから、教育社会学者のような単純な論理は展開しません。ある意味教育の分析が現実に合わなくなっているのは、教育社会学者の言説が階層コードのままであるからかもしれませんね。佐藤学さんは苅谷さんとは違うのではと言われるかもしれません。たしかにポストモダンを標榜していますが、階層構造からみたポストモダンで、実践的ではありません。

☆それはともかく、文化的階層コード、世代コード、富裕層コードは、まだ結びついてはいないので、それぞれ断片領域として表現されています。しかも文化的階層コードは、階層間の関係性を表現するコードを持っていません。抑圧と疎外の関係性ですから当然ですね。

☆世代コードも世代間の関係性を表現するコードを持っていません。断絶がキーワードですからしかたがありません。富裕層コードも層間の関係性を表現するコードはありません。格差がキーワードですから当たり前です。

☆3者のコードのどれが良いのかという無意識の判断が行われている趣味化し、微分化した生活圏がたくさんできているのが現状で、この多層で多様ないりくんだ層間にディスコミュニケーションが生まれているという状況が現状です。この現状を変えていく人材が育つ環境がどこにあるのかという分析が必要なのですね。ですから、階層コードだけでも、世代コードだけでも、富裕層コードだけでも中学受験や中学入試を鳥瞰することも分析することもできないのです。

☆できないということは、子どもたちをディスコミュニケーションの中に陥没させることになります。そこで事件が起こるわけです。だから京北学園の川合校長先生は「ていねいなコミュニケーション」を実践し、心と学力の危機管理をしているのです。共立女子の渡辺教頭先生、海城の中田先生は、現代思想をベースに新しいプログラムにチャンレンジしているのです。明大明治の松田先生は、ディスコミュニケーション空間に代わる居場所空間を形成しているのです。

☆さて、世代コードと階層コードと富裕層コードをどのように関係づけたらよいのでしょう。関係づけると新たなコードが生まれ生活世界は変わります。この関係づけるという補助線がエコゾフィー的発想かなと思っています。

☆宮台さんは、サブカルチャーとしての「少女マンガ―音楽―宗教」を分析しています。この分析こそ新人類世代のコミュニケーションや関係性の分析ですが、この分析の中に3者のコードを関係づける糸口がすでにあります。少女マンガの3分類の中のひとつである萩尾領域、音楽の4分類の中の1つ中島みゆき・尾崎豊系象限、現代宗教の3分類の中の覚悟系にあるのですね。これはみな私立中高一貫校のハビトゥス(文化資本の再生産システム)に関係するものばかりです。

☆モダンでもポストモダンでもない考え方が、この領域に見え隠れしているのです。ここをなんとか表現しようと学校文化を取材している企画・編集の仕掛け人が鈴木隆祐さん(「名門高校人脈」「最高の授業」などを執筆)で、新しい学びの理論と方法論を編み出しているのが岡部憲治さん(「世界標準の読解力」など執筆)ですね。そして9歳・10歳の壁を超えるための学びの情報誌を編集しているアスコムの中村智哉さんです。私もウダウダこうして考えていますが、何せ団塊・断層世代ですから、なかなかシンドイものがあります。^^)♪

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