首都圏 中学受験 2008 [27]
☆中学入試の出願の集計は、まだまだ中間集計に過ぎないのですが、確定するまでの過程でいろいろなものが見えてきます。NTS教育研究所の客員スタッフの川頭さんのコラム「入試が語る学びのコンセプト~かえつ有明中学校~」を読んで、アッと思ったことは、同校は入試問題の設定のハードルや質を本気であげるのだなということです。
☆国語では、「・・・説明文と物語文合わせて6000字程度の長文問題が出題される。・・・なかでも文章全体の展開やテーマを捉える力と、自分の言葉で表現する力が大切になる」と書かれています。算数では、「・・・、与えられた条件に隠された法則性を読み取る発想力が求められるし、平面や空間の図形をイメージする力も求められる。・・・」とあります。
☆国語にしても、算数にしても具体から抽象へ、あるいはその逆に抽象から具体へいったりきたりする思考力が求められているわけです。その反転の媒介は、言葉だったり、図だったり、数式だったりと、どの道具を使えるのかプログラムされた試験にするのでしょう。
☆理科と社会では、「・・・様々な知識を組み合わせて解答を導き出すような問題や、実験結果や統計資料、リード文を読み取る問題が出題される。・・・」ようです。ここでも実験や統計資料という文章のように連続していない、つまりOECD/PISA的に言えば非連続型テキストの読解リテラシーが問われるのです。
☆しかし、こういうハードルの上げ方をすると(ここの考え方は注意しなければなりませんね。ハードルを上げざるを得ない選び方を学校選択者がしているから、学校がそれに応えたというのが正しいかもしれんません)、偏差値も上がります。実際、日能研のR4偏差値で50を超えるかえつの入試日があります。そうすると、出願者の中には敬遠する生徒もでてきますね。1月22日現在の出願者数は、数だけ見ていると、もう十分という感じですが、昨対比で見ると、もっともっと応募者がチャレンジしてもよい状況です。
☆いずれにしても改革をダイナミックに遂行すると、外部に対しても内部に対しても波風が立ち、先生方は相当タフネスにならなければならないわけです。多層なジレンマを乗り越えて、崩れる官僚日本に代わる新しい日本の社会構成を再構築する人材を育てる拠点を作っていただきたいと期待しています。
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