首都圏 中学受験 2008 [32]
☆2008年1月15日現在で、神奈川エリアの出願状況は、昨年に比べると、それほど沸騰しているわけではないかもしれません。まだまだ中間集計ですから、なんとも言えませんが、神奈川エリアの中学受験生の数はとりあえずしばらく横ばいになるのかもしれませんね。
☆今のところ、昨年より応募者を増やした受験チャンス(2月1日と2日分)の割合傾向は、男子校は11.8%、女子校は36.0%、共学校は、27.5%で、神奈川エリアの2月1日と2日の受験チャンス全体で応募者が増加した割合は27.5%です。
☆この傾向は、おそらく学校選択者が自分の子どもの未来を真剣に考え選択判断をするようになっているからでしょう。つまり、6年後の教育投資を大学進学実績にだけ力点を置いているのではなく、今後の社会構成では、クリエイティブな人材、互いのクオリティ・ライフを尊重できる人材、ゆとりある豊かな精神をもった人材などが望まれるはずなので、自分の子どもに適った人間形成が可能な学校を探しているからでしょう。
☆この点について、武相中の神保先生はこう語ります。
今年特に変化を感じたのは、受験生・保護者が本当に武相に入学したいと強く希望し、来校される方々が増えてきたのではないかという点です。何年か前に、受験生・保護者に学校や生徒をもっと知っていただきたいと思い授業公開をはじめたところ、おそらくある先入観があったのでしょう。本当にこんなに熱心でおもしろい授業をいつもしているのですかというような非常に厳しい質問を多く受けました。しかしながら数年たち、特に今年度来校された保護者の方々は、授業を受けている本校の生徒を見て、自分のお子さんが武相に入ったらこのような生活が待っているのだという感覚、つまり希望や優しさを持って授業見学をされている方が明らかに増えたと感じました。この点は昨年や一昨年と比べ、一人あたりの出願回数が増えていることからも間違いはないのではと思っています(昨日1月24日までの総出願数を実受験者数で割ってみると、同じ時期で一昨年は2.19回、昨年は2.30回、今年は2.41回と増えています)。
☆学校説明会やオープン授業に保護者が参加すると、武相のようなクオリティスクールは目から鱗ということになるのですね。だいたい偏差値の違いって何でしょう。日本全体の6年生で首都圏の私立中高一貫校に進学するのは3%ほどです。その母集団の中で、偏差値の差異が何を意味するのでしょう。入学時の小さな学力範囲での出来不出来の差です。その差異が、子どもの将来のどんな差をうむのでしょうか。
☆たしかに冷戦があったときまでは、その学力差が将来の収入差につながる可能性が大だったのですが、これからはそんな期待可能性はないのです。激変の社会で大事なことはタフでユニークで寛容な人間です。
☆それにしても、学校のイメージをフィールドワークをしてすり合わせるのは、契約社会では当然の行為なのに、学校選択の段になると、意外とそこをスルーするケースがまだまだ見受けられます。電化製品やパソコン、不動産を購入するのに、ショップや現地にあれだけ足しげく通い比較し、選択判断に熱心なのに、もっとも重要な人材育成の環境としての学校の選択をするときに、なぜ偏差値と大学進学実績だけで決められるのか不思議です。
☆だから、武相を訪れ、あっ!と驚く学校選択者は、真摯に自分の目で確かめ判断できる倫理的―審美眼の持ち主です。神保先生の話は、そういう審美眼をもった学校選択者が、中学入試で増えてきた証拠の1つなのです。
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