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学び野[07] フィンランド・メソッドの表現力としての媒介性

☆このページを書いている最中に、フィンランド・メソッドが授業でも人気がでているという記事が報道されました。良いことですが、体験→媒介項(フィンランド・メソッドの一部)→経験値というサイクルで活用してしまうと、体験>経験値となり、枠組みの狭い、あるいは視野の狭い思考力を育成する恐れがあります。

☆北川達夫さんによれば、フィンランド・メソッドは5つのポイントで成り立っているのですが、そのポイントは相互に関連し合っています。そのことについては、はっきり述べられていませんね。しかし、ヨーロッパの伝統的な教育哲学や芸術、リベラルアーツなどを基礎としてるわけですから、それは統合されているはずです。フェリックス・ガタリのようなカオスモーズな諸関係を構築しているかどうかは、また別ですが・・・。

☆その統合については、もう少しあとで考えることにして、今回はフィンランド・メソッドの3つ目の表現力に関して考えてみます。北川さんによると、フィンランドの表現力のトレーニングは、典型的なものが3つあるということです。

①複数のキーワードをつなげて文を書く。

②フォーマットに従って作文を書く。

③ショート・ストーリーを書く。

☆①の複数のキーワードを使って文を書くというのは、マーケティングの世界でよくある語彙分析に近いですね。これはカルタというマインド・マップの逆の思考です。キーワードを連想ゲームのように発想していくカルタの作業とは違い、キーワードはすでにあるのです。これをつなげて、中心になるテーマを編んでいくわけです。依然として中心という概念が出て来ざるを得ないのはかなり気になりますが。。。

☆②のフォーマットに従って作文を書いたり、ワンパラグラフ・ライティングをしたりするのは論理のトレーニングです。そして③のショート・ストーリーの編集は、再びカルタを使用し、発想を拡散しつつ、論理でまとめていくわけですね。①と②の両方を統合的に行っていくわけですが、もう一つロジックからレトリックに飛ぶことによって、因果関係の連鎖を断ち切ります。ここに感情の躍動感が生まれてきます。

☆こうして3つのフィンランド・メッソドとしての媒介項を活用することによって、体験<経験値となっていくわけです。ここに日本の教育との差異が生まれるわけですね。日本の教育は常に、体験>経験値=体験=知識です。これはちょっとおかしいでしょう。体験がどんどん小さくなっていく。つまり結局体験のない知識だけになってしまうのですね。

☆この点を考えてフィンランド・メソッドを参考せずに、ただ形だけ、というよりフィンランド・メソッドの内的連関を無視して導入すると、とんでもないことになるのです。

☆そうそう中学入試の国語と社会の学びは、当り前のようにフィンランド・メソッドをとっくに使っています。公立の授業で、フィンランド・メソッドが人気ということは、中学入試問題を学び始めたということでもあるんですね。

☆日本の教育システム、といっても政府が作ってきた教育システムの方ではなく、公立小学校側のルサンチマン的というかオリエンタリズム的幻想が造り上げた教育システムが中学受験をタブー化することによって、日本の教育の真のリソースを封印してきたのですね。ちょっと大げさな表現になりました^^)♪。。。

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