08中学入試問題とPISA[03] 開成の国語は論理と創造と
☆今年の開成の国語の入試問題で出題された素材文としてのテキストは、15、6年前まで長文1題構成と短い文章2題構成が2年おきぐらいに交代して出題されていたころの2題構成に戻ったという感じです。
☆特に今年のテキストは、昨年「ALWAYS続・三丁目の夕日」がブレイクしたからでしょうか、時代は大正時代を背景にした里見順の「わが胸の底のここには」の小説があつかわれているのですが、まだまだ昭和30年代にも残っていた、教師と悪戯生徒たちと正義感あふれる生徒の純粋な葛藤がテーマです。読んでいてあまりの懐かしさと互いに思いやる子弟愛が逆説的にすれ違うジレンマに思わず涙腺がゆるんでしまいました。受験生の中にそんな感受性を思わず作動させた子がいたらまずいなぁと思いましたが、そんなヤワな子は開成受験生にはいないかと思いなおしました。この小説は4000字弱でした。
☆もう1題は、永平寺のお坊さんのエッセイで、1600字ぐらいですから、合わせて5600字。ここ最近7000字ぐらいの文字数をテキストとして出題していたのに、何かカリキュラム変更でもあったのでしょうか。
☆テキストの文字数は、15、6年前に戻ったのですが、問いの構造はここ数年の流れです。すべて記述と論述です。85点満点で、4つが漢字の書き取り、残りの7問が記述・論述です。OECD・PISAのカテゴリーで分けると、知識の割合が多くなりますが、配点が漢字と記述・論述では違うので、合格者の平均点をシミュレートするには、そこは考慮しなければなりません。
☆それにしても、
「・・・あなたが、人の人生や経験を知ってこのように頭を下げたい気持ちになったときのことを思い出して書いてください。どんな人に対して、どのような気持ちになったのか、説明しながら120字以内で書くこと。身近な人に限らず、本で読んだり人から聞いたりして知った人のことを題材にしてもかまいません。」
☆昨年の夏、開成のH先生は、独特の宗教教育を実践している一燈園という学校で、ほかの私学の先生と研究授業を行っています。新聞でも話題になりました。ハーバード大学のハワード・ガードナー教授も、創造性と知恵の両方を統合するTrusteeshipなるものの研究をしていますが、要は倫理なき先進性ではなく倫理ある創造性―ガードナー教授は“Good Creativity”とも言い代えていますが―、を入試の段階で発掘しよというのでしょうか。
☆それはともかく、OECD・PISAのレベル指標で合格者の平均をシミュレートすると、採点許容も考慮(漢字と記述の配点差が大きすぎるため)すると41.5点(85点満点)ぐらいでしょうか。昨年より難しかったということになるのでしょうか。もうすぐ合格発表(いま13:04です)が行われますね。行われているのかもしれません。いずれにしても、開成の場合、試験結果が開成のサイトで発表されますから、あとで照らし合わせてみましょう。
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