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首都圏 中学受験 2008 [49]

☆今日の読売新聞毎日新聞の中学受験に関する記事はおかしいのではないかなと思いますが・・・。

大手進学塾「四谷大塚」によると、首都圏(東京都、神奈川、埼玉、千葉県)の私・国立中294校のうち、1日だけで205校が入試を実施。08年の首都圏の受験者数は過去最高の5万2500人(予想値)に上り、ゆとり教育による「公立不信」が背景にあるという。(2月1日16時38分配信毎日新聞)

☆2008年2月1日現在、日能研の倍率速報の「サマリー」によると、今年の首都圏の中学受験応募者数は296,877人で昨対比90.5%です。昨日現在の段階で昨対比90%ですから、昨年を上回るというのはどういうことでしょう。受験者数と応募者数はもちろん違いますが、現段階で上回るというのは、なんか釈然としません。

☆もしも実態は上回らなかったら、次の発言はどうなるのでしょう。やはり毎日新聞の記事です。

首都圏の多くの私立・国立中学校で1日、入試が行われ、中学受験はピークを迎えた。東京都杉並区内の小学校では6年生の半数が受験のため欠席。教室は閑散としていた。副校長は「加熱しすぎもいかがなものかと思うが……」と首をひねっていた。

☆「加熱しすぎ」とはいかなる計算でしょうか?読売新聞にもこうあります。

都心部の公立小学校では、この日、受験のために小6児童の7割が欠席するところもあり、過熱する中学受験ブームの“影”も浮き彫りにしている。

☆すごい主観的なようで通俗的記事ですね。過熱しているかどうかもまだ定かではないうえに、中学受験ブームの“影”と表現していますね。7割が欠席というのは、公立中学が危ういと消費者が判断した市場の原理の結果とみなすこともできるはずです。その場合、むしろ公立中学の教育行政の“影”の部分が浮き彫りになっているということではないでしょうか。

☆それに毎日新聞にこうあります。

難関校の私立開成中学校(荒川区西日暮里)では、定員300人に対し約3.6倍の1055人が受験。

☆今年の受験生が増えた例として使っているわけではないと言われればそれまでですが、短い記事の中で、受験生が増えたぞーというテーマの中で引用されているのだから、開成も増えているのかと読み間違う読者もいるでしょう。ところが、開成の今年の応募者は1089人で、3.6倍。昨年の応募者は1157人で、3.9倍。記事によると、今年の受験生は応募者を下回っているぐらいです。とても昨年より受験生が増えているという感じではないですね。

☆厳しいことは厳しいのだけれど、昨年よりもさらに増えて中学受験は過熱という表現はいかがなものでしょうか。まして、中学受験が“影”とは。コントラクトとコベナントの違い、道徳と倫理の違い、操作と市場の違い、妥当性と正当性の違いなどなどなどを論議できなくなっている、つまり表現や言論の自由を自ら奪い取る行為は、新聞としては問題があるような気がしますが、どうせそんなの関係ないって言われるのがオチでしょうね。

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