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首都圏 中学受験 2008 [50]

☆昨日2月1日、東京・神奈川エリアで中学入試が始まりました。中学受験生が挑戦する試験のチャンスは300弱です。このエリアの私立中高一貫校の数も多いのですが、入試を午前と午後設定している学校も多いからです。

☆チャンスは多いほどよいわけです。市場の原理を私学は活用しているわけですね。もちろん、これはTrusteeshipに支えられた市場の原理で、経済的利益追求の競争ではなく教育の質の競争です。

☆それにしてもすごいのは、2月1日に入試をやって、その日のうちに合格発表をやる学校の数の多さです。約80%が合格発表をしてしまうのです。

☆ですから、併願戦略を入試前にきっちり立てておかないと、実際にはあっという間に合否が決まっていくので、混乱するし、パニック状況が生まれます。ですが、そんなときこそ、目の前の状況から少し視線をズラし、6年後、10年後、12年後に思いをはせましょう。

☆たとえば、大学進学実績や偏差値にこだわって、併願校を変えられないでフリーズしているとき、はたして、次のような記事の私学はどう思われますか。毎日新聞(1月30日15時2分配信)の記事です。

埼玉県入間市の私立狭山ケ丘高校(小川義男校長、生徒1074人)が、受験料を負担して一部生徒に本人の志望しない有名私大に出願させていることがわかった。在校生が毎日新聞に証言した。これまで同校は「経済的に苦しい生徒の受験料を一部負担している」と合格者の水増し目的を否定していたが、この生徒は「経済的な苦労はない。合格者数を増やすための出願としか思えない」と話している。

☆私はこの問題は私学の経営の倫理の問題ですから、興味はありません。なぜなら、それぞれの学校の経営者の倫理観も市場の原理で淘汰されるだけだからです。かわいそうなのは大学進学実績があまりに選択指標の中で唯一絶対のもののように、マスコミも選択者も、なんといっても自治体や政府も共同幻想をつくってしまい、責任を塾に転嫁しているほどですから、学校も見識を喪失してしまうときがあるということです。

☆だから、これはこの私立学校だけの問題ではないのです。私がクオリティスクールやエクセレントスクールにこだわるのはこの点なのです。この共同幻想を破壊的に創造できる学びの環境こそ、クリエイティブ人材を輩出できます。もはや国や企業だけに依存するのではなく、自分で判断し発想し、起業していく時代です。お国のため、企業のためにクオリティライフを犠牲にする時代じゃないし、賄賂をもらって嘘栄の生活がクオリティライフだと錯覚してまかり通る世の中でもないのです。

Photo ☆もしも併願の変更をすべきかどうか迷ったら、私のクオリティスコアを参照してください。昨年編集した「07年私立中高一貫校クオリティスコアの公開」が役に立つかもしれません。もちろん独断と偏見ですから、ご自分でいろいろ調べたりしてください。そんな時間がないという方は、直接気になる学校に電話で相談してみるのがよいと思います。

☆また、エリートスクールを中心に併願受験し、複数合格して、最終選択をするときに迷われた場合、独自の視点で学校の授業の取材をしたフィールドワークの傑作「名門中学・最高の授業」 鈴木隆祐著(学研新書)をお読みください。今週出版されたばかりの新刊書です。おそらく私立学校を社会学的かつ現代思想的かつリベラルアーツ的視点できっちりまとめられた本は今までにないでしょう。私立学校にとって讃えられるべき本です。鈴木さんは「名門高校人脈」(光文社新書)など数々のベストセラーを世に問うています。

Photo_2 ☆私のクオリティスコアの考えもちょっぴり紹介してくれていますし、ぜひお読みください。そういう私もまだ手に入れていないのですが・・・^^)。といっても刷り上がりのホヤホヤを編集者の方が出版前に差し上げられませんがとチラッと見せてくれはしましたが、それはともかく私もネットで申し込んだので、はやく届かないものか待ち遠しいですね。

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