« 首都圏 中学受験 2008 [63] | トップページ | 08中学入試問題とPISA[07] 海城のテストデザインは緻密  »

首都圏 中学受験 2008 [64]

Photo鈴木隆祐さんの新刊書「名門中学 最高の授業 一流校では何を教えているのか」(学研新書2008年2月6日)は、早くも増刷が決定したということです。クリエイティブ資本としての人材を生み出すハビトゥス(文化資本再生機制)が背景にある中高一貫36校についてフィールドワークを重ねて書き練られた傑作です。

☆さて、鈴木さんの取材記事の中で、明大明治のつぎのような記述に目がとまりました。

明治の生徒は成長するにつれ、しっかりと自分の意見を表明できるようになっている。それが確認できたのが、社会科の松田孝志教諭が、中三の自分の受け持ちのクラスで展開する道徳の時間だ。

☆さすがは鈴木さんです。明大明治の松田先生の授業をきちんと取材されているからですね。松田先生の授業は、道徳の時間に限らず、社会科や総合学習、卒業論文編集の時間で、「探究―議論―編集―論文―自己評価―相互評価・・・」のサイクルを授業横断的に活用しています。しかも中1から高3まで、6年間の螺旋連続型のプログラムです。

☆大事なところはこのサイクルのすべてのプロセスで、生徒一人ひとりと対話をしながら、お互いの居場所をつくりながら、授業を展開しているところですね。もちろん居場所というのは授業の場所とか対話の場所も意味しますが、松田先生の本意は、言うまでもなく、生徒一人ひとりの精神的な居場所です。

☆自分の内面に、リラックスできる場所、沈思黙考できる場所、発想を喚起できる場所、世界の痛みを引き受けられる場所・・・をしかっり広げられるなら、生徒はいかなる局面でもタフにそして寛容な気持ちで生き抜くことができるということなのでしょう。

Photo_2 ☆松田先生の「6年間の対話と議論と論文」のプログラムへの思いと実践例がまとめられた書「心を揺さぶる授業 居場所づくりを支援する」(NTS教育研究所2008年2月6日)が発刊されました。ただ、部数がたいへん少なく手に入りにくいかもしれません。一般書店でも販売されていません。発行元のNTS教育研究所に問い合わせれば購入できると思います。

|

« 首都圏 中学受験 2008 [63] | トップページ | 08中学入試問題とPISA[07] 海城のテストデザインは緻密  »

文化・芸術」カテゴリの記事