首都圏 中学受験 2008 [65]
☆産経新聞(2月18日22時34分配信)によると、文科省の学習指導要領の欠点を、日能研本部は常に補完し、先進的なカリキュラムを構想・実行してきたということらしい。ついこの間まで内部でも批判の多かったRコースという探究―議論―発表プロセスの授業。
「この問題どうやって解こうか」「僕はこうする」「私は違う。ここに線を引いた方がいいよ」-。 先生の力を借りずに、5、6人の児童が1つのチームを組んで図形問題の解法に知恵を出し合い、「一番いい解き方」を探している。見つかったら、他のチームと互いに発表して比べ合う。先生は最後まで、解き方を教えてくれない。これは日能研が4年前から首都圏の一部教室で開設する「Rコース」(小4~6年対象)の光景だ。あらかじめ用意した答えに児童を導かないことが特徴で、高木幹夫代表(53)は「自ら学び考える力を育てる授業。『総合学習』そのものだ」と話す。
☆OECD/PISA型の学びやテストの風に乗って再評価というところでしょうか。日能研本部のこのような新しい学びは、Rコースだけではありません。通信教育「知の翼」や低学年の「ユーリカキッズ」やセミナー「ディスカバリークラブ」など、もともとシカクいアタマをマルくするというコンセプトが多様な展開をしています。
☆日能研本部のこれらの展開の背景には、かなりアカデミックな根拠があります。ハーバード大学の認知科学やETSのテスト測定学などなかなかなものです。ハーバマスまではいきませんが、コールバークのジレンマ理論なども丁寧に勉強していますね。もともとピアジェやブルーナー、ビゴツキーなどの教育学の基礎理論は20年以上前から教務スタッフは学んできたのですね。数学のデキル教務スタッフも健在です^^)。
☆これらの理論を、カリキュラムの根底に浸透させています。外から見ているとわかりませんが、エンジンはなかなか馬力があります。
☆それをのれん分けしてもらった日能関東はうまく利用していますね。代数構造と順序構造までは理解できるスタッフ陣が日能研関東にはいます。でも位相構造は理解していないかもしれません。本当は位相空間の理解が、中学入試の問いの構造の突破には必要なのですが・・・。
☆もっと大事なのは、国語ですね。国語は代数構造と順序構造、位相構造をレトリックとして理解できないとだめなんですね。レトリックとロジックを違うものとして認識していると御三家の国語は本当に理解しているとはいえないのですね。
☆しかし、そんなことは関係ないのです。魂など知らなくてもコピーはできます。とはいうものの今回は河合塾と提携してラテン語由来(ベネッセみたいですね)のGAUDIAというプロセス主義の低学年向きの学習塾を開設しています。河合塾って関係総体主義の思想的背景があるので、もしかしたら、今度はソフトの部分は本格的かもしれませんね。
☆とにかく、やはり日能研はおもしろいじゃないですか。低学年から生徒を囲い込む経営戦略とどこか本物志向の学習戦略。両方のベクトルが最適化するとよいですが、資本の論理はそう甘くないのかもしれません。いろいろな意味で。。。
☆そうそうコンテンポラリーアートの要素がまだ不足しています。学びとアートを結びつける塾はどこでしょうか。そんな塾の出現を期待したいですね。
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