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首都圏 中学受験 2008 [67]

☆前回、2010年に横浜山手女子が中央大学の付属校になり、共学校になるかもしれないという記事が昨日(日経新聞2008年2月19日)流れた話をしました。

☆大事なことは、中央大学の戦略と横浜山手女子の戦略ですね。はたして何を考えているのでしょうか。中央大学の場合は、当然マーケティングと新事業計画の両面から勝算ありと考えたのでしょうが、それは何でしょう。横浜山手女子は学内改革によるサバイバル戦略をプランしているのでしょう。東大や早稲田・慶応と連携するならともかく、MARCHの中でもイノベーションには疎い中央大学と協働するというのは、経営判断としてどうなのだろうと思うのは私だけではないでしょう。

☆それとも中央大学の中に、すさまじブレインがいるのでしょうか。早稲田実業の国分寺移転や共学化、小学校設置の大改革のときでさえ、縁の下の力持ち的逸材がいたけれど、自分の命をかけたほどだと聞き及んでいます。そんな逸材がいるのなら、もっと早くからなんとかなっていたような気がします。

☆それはともかく、門外漢の私が独断と偏見で予想するに、大学全入時代サバイブできる大学はもしかしたらMARCHがギリギリなのかもしれません。それでもアカデミズムというよりはキャリアデザインコースとしての機能しか残らなくなると思います。

☆国際的なレベルで研究を全うできる大学は、東大をはじめとするいくつかの国立大学だけになる可能性があります。早稲田・慶応・上智はドメスティックなレベル、あるいはマスコミレベルの研究は保てるでしょう。ICUはリベラルアーツとしての特徴を唯一保てるかな。MARCHはおそらく資格と就職、つまりキャリアデザインコースですね。リクルートの最大顧客といってもよいかもしれません。

☆おもしろいのは聖学院大学です。真の研究者の中には、若いとき、大学受験的な学力はどうでもよいと思っているというか無関心な人もいます。そういう磨けば世界の逸材になるような人材を輩出するクリエイティブ資本を生み出すパワーのある大学です。難関私立中高一貫校の中で目が出なかった生徒がかなり多く聖学院大学に進むのですね。そこで開花し、国立大学の大学院に進んで学者になる人材がでるのです。そのうちハーバードなんかの大学院に進む学生も輩出されるかもしれません。

☆中央大学は、おそらくそこにエンロールメント戦略(生徒獲得戦略)の可能性を見出しているのではないでしょうか。すでに法政大学とかえつ有明との連携、青山学院大学と横須賀学院との連携のケースメソッドがあります。

☆大学というのはどうしようもない教授会というのがあります。権威と世間知らずの塊です。市民の声などには、基本的には耳をかさないと考えてまず間違いないでしょう。

☆この教授会に様々な改革案を通そうとして事務方は相当悪戦苦闘・孤軍奮闘するわけです。大学間の事務方の連携はすさまじく、そこで改革案がいくつも生まれ、教授会でつぶされるというのは山ほどあるでしょうね。おそらくの話ですが。

☆たとえば、ある有名私立中高一貫校(A)から優先的に中央大学が指定校推薦枠よりは広い新しい推薦枠で受け入れるというような話が持ち上がったとします。しかし、そのときの壁は、5段階評価の平均スコアですね。大学の提案に対して、私立A校では、スコアは高くないけれど、なかなか才能豊かな生徒がいるからそういう生徒の道を開きたいと逆提案する。中央大学はいややはりある一定のスコアが必要ということになる。夢は互いに膨らむけれど、この一点で話が進まなくなるというわけなんですね。

☆いくら首都圏の私立中高一貫校に進学する生徒の全国の同世代に対する割合は3%だから、スコアなんてものは相対的で、この3%を考慮した戦略をとるべきだと事務方が教授会に進言しても、地方のナンバースクール出身が多い教授たちは、御三家しか知らないし、私立なんてっていまだに思っている人たちもいるぐらいです。従来の考え方を変えるわけがないですね。

☆そこで、こういう権威者を相手にするときは、マキャベリズムです。キツネのようにライオンのようにですね。私立中高一貫校の<帝国>支配戦略です。系属化すれば、そこの学校からの推薦は、スコアなど関係ないのです。推薦評価というものに沿って受け入れればよいのですから。システムを教授会が認めれば、後はスルーです。既成事実で邁進するだけです。

☆しかし、20世紀型<帝国>戦略ではないですから、そこは事務方はマルチチュードな戦略です。支配者の覇権意識をよいしょしながら、支配される側にそれを覆す知恵と勇気が生まれる環境を作っていくのです。

☆実際連携段階で、かえつ有明や横須賀学院は、カリキュラムは大改革されるし、大学進学実績にも早くも好影響が現われています。私立中高一貫校は、別に大学側のヘゲモニーなどなんとも思っていません。法政や青山、中央をミニマム保証として、その上を狙うわけですから。

☆こういうマルチチュードな戦略が可能なのは、大学の事務方と私立中高一貫校の経営ブレインとの間で相当戦略的で革命的コミュニケーションができるリーダーが合わせて5人いなければなりません。学内外の政治的視点、財務知識、時代を読む情報量、相当堪能な英語力、コンサル力、もちろんリーダーシップ。こういう資質を一人の人間が持っている時代は終焉していますから、5人は必要なんですね。

☆新聞でリリースされるということは、すでに建築計画、カリキュラム計画、生徒募集計画、教師の人材確保計画、塾対策計画、地域戦略計画、新進学指導計画などなどのデザインができていることを示しています。IBコースがその手始めだったのでしょう。2010年までの2年間、中央大学と横浜山手女子との間で、実験的に連携授業などが行われるでしょう。新建築などの設計図やモデルが提示されると思います。そのような動きが出てきたら、これは本格的だと思ってよいのではないでしょうか。

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