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首都圏 中学受験 2008 [68]

☆中学受験の経済を取り巻く環境は、決して順風満帆ではないですね。私立中高一貫校のステークホルダーは、学校自身、生徒と保護者(家庭)、塾、広告代理店、建設会社、学習ツール販売会社、旅行会社、保険会社、出版社、知事、文科省など多岐にわたります。

☆1つひとつ眺めていただくとおわかりのように、すべて組織です。そして組織である限り、常に崩壊の危機に瀕しています。

☆草創期) 新設の学校は、最初は創造的で調子がよいのですが、必ず小さな右肩下がりがきます。ここで、自分たちのソフトに対する生徒や保護者のクレームを受け入れて、強化していくことで、今度は逆にぐんと飛躍しますね。

☆成熟期) 成長し成熟している学校も、油断はできません。生徒や保護者の欲求は常にどんどん高くなります。これに対応できる質の高い教育ソフトを自己研鑚できない学校は、衰退期を迎えることになります。

☆衰退期) 組織崩壊の大きな危機です。自立再生の組織改革をしなければ、あっという間に落ち込みます。

☆蘇生期) 自立再生できないとき、蘇生装置を活用するしかなくなります。つまり外部の力を借ります。コンサルタントと内部の教職員と協働するだけの漢方薬的手法では、もはやうまくいきません。企業で言えば、M&Aですね。資本とノウハウの総入れ替えという外科手術の意志決定を強いられます。

☆死滅期) 清算と撤退するしかないという意思決定をするときです。企業に比べ、学校はこの時期を迎えないところの方が多いですね。補助金が出るからです。

☆企業の場合は、草創期から一気に死滅期を迎えるところも多いです。草創期の小さな右肩下がりの時期を乗り越えられないわけですね。私立学校の場合は、衰退期を持続するところが多く、徐々に死滅期に向かいます。

☆蘇生期を迎えようという意思決定をしたところは、そこが草創期になりますから、再び上昇気流の流れが生まれます。しかし、2、3年で小さな危機が表れます。乗り越えられないと、すぐに衰退期を迎えます。

☆組織がそれぞれの期の危機を乗り越えることができるかどうかは、常に人材による創造的行為にかかっています。また、その創造的行為をサポートできるリーダーシップとフォロワーシップのチームプレイがうまくいく環境マネジメントがあるかどうかも重要ですね。

☆草創期の創造的行為は、学習ツールと教育ソフトの生産ですね。新しいものは、注目を浴びるのは当然です。しかし、最初から完璧なツールやソフトはありません。クレイムもいっぱい出るでしょう。それに対応することで、アイデンティティもツールもソフトも強化されます。

☆成熟期の創造的行為は、生徒や保護者との親密なコミュニケーション、おもてなしです。アイデンティティやツールやソフトの強みは浸透しています。あとはそれを活用することが、生徒や保護者にとって安心でき、信頼でき、自信につながることだというケアです。1人ひとりコミュニケーションをとるシステムの確立と押し付けや事務的ではない創造的コミュニケーションのトレーニングの機会の設定がポイントです。

☆衰退期の創造的行為は、ツールとソフトの見直し、創造的コミュニケーションの劣化を見直すことが重要です。コミュニケーションが劣化している場合、内部のスタッフだけでは、気づきませんから、外部のスタッフやコンサルタントの知恵を借りる必要があります。まだこの段階では漢方薬的処方箋でいける可能性があります。自立再生の道ですね。

☆蘇生期の創造的行為は、優れたパートナー探しです。しかし、それができるぐらいのスタッフがいるならば、もともと自立再生の道を歩めたはずです。結局コンサルタントの情報と交渉にゆだねなければならなくなるでしょう。

☆死滅期の創造的行為はありません。手続き的行為に徹して、立つ鳥跡を濁さずという段取りになります。

☆今年の中学受験を見ていると、衰退期という名の死滅期に突入している学校があります。蘇生期をバネにして見事に草創期にシフトできた学校もあります。草創期から成熟期へ驀進している学校もあるし、草創期の小さな危機を迎えている学校もあります。

☆学校に限らず、組織経営者の責任はやはり重たいのですね。話を聞きに訪問したとき、この責任の重さがそこはかとなく伝わってくる覚悟や気概を持っているリーダーがいる組織は、やはりうまくいっています。責任を回避しているリーダーがいるところは、やはりそれぞれの期を乗り越えられない組織です。言うまでもなく、組織の評価とそこにいる人材の評価との相関係数は大きくなるのです。

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