首都圏 中学受験 2008 [70]
☆先週の土曜日(2008年2月23日)、東京女子学園で、教育心理学を学んでいる私立学校の先生方の研究会が開催されました。共立女子第二の伊藤久仁子先生が精力的に活動し、中心的役割を担っているようです。
☆私も参加していいですよとお誘いいただいたのですが、残念ながら都合がつきませんでした。参加できない旨のメールを出すと、すぐに伊藤先生から返信があり、当日の基調講演者児美川孝一郎さん(法政大学キャリアデザイン学部教授)のレジュメもいただきました。本当にきめ細かくて素早い対応に感服です。
☆児美川さんといえば、「キャリア教育」に関する政府の政策を批判的思考で斬りこみ、最適な「キャリア教育」を提案している方だと聞き及んでいます。教育心理学というのは、モダニズム社会という高ストレス社会の中で苦しむ人の心を癒し、結果的になんとかストレスに耐えられるようにする学問だいう先入観を持ちがちですが、どうも児美川さんを囲んで勉強している私立中高一貫校の先生方は様相が違うようです。
☆レジュメから推察するに児美川さんは、広狭両方のキャリア教育の概念を整理し、学校の教育課程全体がcareer education-orientedであるべきであるという考え方を重視しているような気がします。というのもキャリア設計のコンセプトとして「適応」だけではなく、現状を変えるという志向も重視しているからです。
☆要するにキャリア教育というのは、情操面でも、知性面でも複眼的視点と広い視野持って構想・判断・実行していけるテクノロジーの獲得の場だと考えているのではないでしょうか。
☆こういう視点を、私立学校の教師は持っているのだなと思うと、日本の未来も明るいですね。一方公立学校はどうでしょう。どうしても教科専門型の特性がありますから、このような横断的複眼的視点は難しいかもしれません。
☆教員の指導力の問題ではなく、教育のシステムの問題ですね。新学習指導要領は、ここの改善を吟味検討しない限り、クリエイティブ資本を開花させることは難しいでしょう。20世紀型の人材資本としての労働力を相変わらず再生産する教育が継続され、グローバリゼーションの荒波を乗り越えるクリエイティブ資本としての21世紀型の人材を育成できる環境はできません。今のところそのような環境改善に日々努力しているのは私立学校ということになりそうです。伊藤先生の活躍はそのような時代の流れを作っているのではないでしょうか。
☆それにしても東京女子学園という女子私立中高一貫校は、興味深い存在ですね。学校の法化現象の流れに対し、そもそも法の信頼性や妥当性、正当性とはなんぞやという問いを投げかける理事長がいるし、キャリア教育に対しても同じような問いを投げかけます。そしてそういう理念を共有する先生方に場を提供されているわけです。≪私学の系譜≫としての東京女子学園のポジションについてもっと注目されてよいと思います。
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