首都圏 中学受験 2008 [72]
☆しばらくといっても1週間ぐらいですが、白梅学園清修の柴田教頭先生のブログが更新されていませんでした。中学入試が終わり、一段落しているのではと思われるかもしれませんが、学校は1期生、2期生の次のステージの準備と3期生を迎える準備にはいり、ホッとする時間などないのですね。
☆白梅学園清修の先生方は、柴田先生とともに身を粉にして生徒といっしょに動きますから、例年にない寒さが続いているし、風邪などが大流行ですから、そうそうそれに花粉もいとすさまじですから・・・、もしやバタバタと倒れてでもいるのではと心配していましたが、全くの杞憂でした。本当に大忙しだったようです。
☆柴田先生のブログも更新され始めました。めでたしめでたしと思って、内容を見ると、なんと鴎友学園女子の先生方が見学しに来られた様子が、写真付きで載っているではないですか。
☆それにしても鴎友の教頭吉野先生の精力的な活動にはいつも驚愕ですね。鴎友学園女子は、すでに成熟期にはいってもなお革新的な教育活動をやっている学校です。普通ならば、草創期の白梅学園清修を見学しようとは思いつかないはずです。しかし、好奇心旺盛というか探究心旺盛というか、眼のつけどころが違うというか、さすがは吉野先生ですね。
☆鴎友学園女子といえば、慈愛と誠実と創造の三位一体を教育理念として教育を実践しながら、常に新しい知のテクノロジーを取り入れていく知への欲求値が高い教師陣がそろっている学校ですね。
☆ホームページで学内外の議論を活性化させる手法を、どこよりもはやく獲得し実践された学校でもあります。もう8年ぐらい前の話でしょうか。私も当時はNTS教育研究所を主宰し、サイト内にホンマノオトというページを掲載していましたから、吉野先生にはいろいろ影響を受けた記憶があります。実際何度も吉野先生にはセミナーで基調講演をしていただいたものです。
☆白梅学園の秋田校長先生がイギリスの研修旅行に行かれているとき、ロンドンであのテロ事件が起きました。私も同僚が別の研修旅行を企画してイギリスに行っていたので、応援のためにロンドンにいました。そのとき、リアルタイムに何かあったら情報をリリースしようとブログを開始しました。
☆それは白梅学園清修開設準備時期でもありました。柴田教頭先生は、八雲学園のサイトと鴎友学園のサイトに影響を受けつつも、独自のネット広告戦略を考案しようとしていたのでしょう。思い切ってブログも導入されました。
☆鴎友学園女子、八雲学園、白梅学園清修は、成長サイクルとしては、成熟期、草創期から成熟期への移行期、草創期と違いはありますが、ネットを活用した新しいコミュニケーション関係づくりの探究心旺盛という点では共通しています。
☆吉野教頭先生を団長とする鴎友学園女子の白梅見学チームは、おそらく草創期の白梅学園清修の新しい学びのコミュニケーション・スタイルとそのテクノロジーについて視察することを目的にしていたと推察します。
☆いまここで生徒たちと教師がコミュニケーションするとき、大事なのはハートとハートを結ぶ媒介項です。媒介項として何を取捨選択するのかは、今の生徒にとっては重要です。教師の媒介項をそのまま押し付けたのでは、コミュニケーションを取っているはずが、いつのまにか理解の壁を作ってしまっているなんてことがあるのですね。
☆理解の壁は、実行の壁を作りますから、学びの行為に滞りが生まれます。ヴィゴツキーの最近接領域という媒介項は、どちらかというと生徒のために必要とされたのですが、今日では教師のために必要なのかもしれません。教師が生徒の最近接領域に降りていくためにどの媒介項を選ぶのかというメタ媒介項作りの意味で重要なのです。
☆草創期の白梅学園清修は、生徒の人数を少なめに設定して出発しています。このサイズはコミュニケーションが効果的なのですね。国語科では、いきなりディスカッションと小論文編集の指導を開始できているはずです。数学科でも、数学的思考を言語化するコミュニケーション型の授業を展開しているはずです。
☆スモールサイズだから、優れた媒介項を一人ひとりの生徒に浸透させる速度を加速できます。序破急の成長曲線を描く速度が一般の学校の4倍ぐらいかもしれません。なぜそれができるか。1つはスモールサイズ。2つめは、電子ボードによるコミュニケーションの高密度。3つめは、教科連動型の言語化戦略。(さりげない3つのポイントですが、要するに世界標準の学びの組織づくりということなんですね。)
☆以上の3つは、実は成熟期に入って、全体に浸透できるプランなのですが。白梅学園清修は草創期でやっているわけです。それはネットやPC環境のテクノロジーをうまく活用し、時間を圧縮しながら、あまった時間で、リアルなコミュニケーションを朝から夕方まで貫徹しているから可能なのです。コミュニケーションの質を向上するには、時間のマネジメントが肝要ですが、ネットとPC、モバイルの有効活用はそれを最適化します。
☆成熟期にはいっている共立女子も完全中高一貫体制になってから、白梅学園清修と共通する戦略をとっていますね。定員を減らし、各教室に電子ボードとまではいきませんが同価値の機能を備えた環境を整備しています。リアルなコミュニケーションについては、共立女子では従来から今もこれからも充実しています。
☆宮台真司さんではないですが、あらゆる人間の活動や現象は、コミュニケーションのスタイルとその方法の解明だといっても過言ではないのですが、言語と精神をつなぐ内村鑑三の系譜にある鴎友学園女子が、白梅学園清修で見たコミュニケーションのスタイルと方法はいかなるものだったのでしょうか。いつか吉野先生にお聞きできればと思っています。
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