世界を変える学校[01] はじめに
☆「世界を変える学校」。少し大げさなテーマだと思われるかもしれません。「世界」といっても、人によって様々なイメージがあることでしょう。ここではものの見方や感じ方というどちらかというとmindにかかわることを意味していますが、mindでない世界が果たしてあるのかどうか、精神と物質はそもそも区別できないなどいう哲学的論議はさしあたりしないまま進みましょう。
☆私が今興味を持っている見識者はハワード・ガードナーです。多重知能(MI)で有名なハーバード大学の学者ですけれど、このMI理論は、どうやら日本ではあまりうまく伝えられていないようですね。例によってかなりなまって活用されています。独自の活用というわけですからそれはそれでよいのでしょう。
☆しかし、ガードナーの最近の成果によると、MIはあくまでガードナーの学びの理論の1つにすぎず、それだけを前面に押し出して活用しても、それほど意味はないのかもしれません。
☆MI理論と最近の研究成果の橋渡しになる研究は“Changing Minds”という本になっています。2004年版はすでに邦訳されていますが、あまり話題になっていませんね。相変わらずMI理論が有名です。しかし、2006年版には、序文が加わっていて、この本のベクトルがわかりやすく説明されています。この序文がなくても、2004年版を丁寧に読めばわかるのですが、忙しい教師や教育関係者には、その時間がない可能性が高いですね。まして保護者にはその時間は皆無でしょう。しかし、知らないでいるわけにもいきません。欧米はこの路線を模索しているからです。今はじまったわけでもないのですが・・・。
☆とにかくMindsの変化は、4つのメディアと6つのエリアと7つのREの複合によって生まれる「Mindsのコンテンツ」と「Mindsのフォーム」であるMIとの関係総体で生まれるのです。それからそれから「Mindsの作用するフィールド」は、3つ想定されています。たいへん複雑です。この関係総体の中からMI理論だけ単独で取り出してみてもそれほど効果はあがらないでしょう。
☆もっともこれは日本だけではなく、アメリカの学校現場でも同じことが言えますね。MI理論の実践研究はすでに行われていますが、どうもMI理論だけが突出しています。それを翻訳して日本の教育現場に伝えようとするので、ますます日本では形だけになってしまうのです。
☆ここで1つひとつの説明はできないので、翻訳版をお読みいただくことにして、肝心なことは、ガードナーの学びの理論によって、子どもたちの世界は変わるということです。子どもだけではなく、組織も、研究者も、大人たちも。
☆日々の小さな変化の積み重ねが、やがて突然大きな成長を生みだすんですね。そんな学びの理論があれば、最高ですね。でもですよ、そういう学びの理論というかプログラムが、日本の学校にすでに存在しているのです。
☆ガードナーの理論を学びつつも、やはり実際の学校のプログラムも見ていった方が、家庭内で自分の子どものことを配慮しつつ、自分の子どもの才能を伸ばす学びの環境を選択する場合、精度の高い意志決定ができるでしょう。「世界を変える学校」、それはまた「世界標準以上のフォースを身につけられる学校」でもあります。「世界を変える学校」探しは、「世界を変える授業」探しでもあります。
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