08 東大合格発表の季節[04]
☆今年、駒場東邦から東大に合格した生徒は、今のところ36名。サンデー毎日(08年3月23日号)によると、同校の東大合格者数の5年間の推移は、次のようになります(今年は前期の人数のみ)。
57名(04年)→64名(05年)→46名(06年)→42名(07年)→36名(08年)
☆これを見て、駒場東邦の教育の質が低下したと見るのは、もちろん早計です。むしろ、今となっては地政学的に不利な条件で奮闘しているというのが本当のところでしょう。というのも、
①SAPIX、日能研、四谷大塚で、開成、麻布、武蔵、筑波大駒場、駒場東邦の合格者はほとんどシェアされてしまいます。当然偏差値の輪切り的な学校選びの傾向が大です。
②筑波大駒場が隣接しているうえに、埼玉や千葉からの優秀生は、駒場東邦まではそれほど多くは受験しに来ません。開成、麻布、武蔵でとまってしまいます。神奈川エリアからは通えますが、他校も通えるため、分散しますね。
③東京の多摩エリアの優秀生は、早稲田実業や桐朋があるので、駒場東邦までたどりつかないでしょう。
☆要するに、生徒募集に力を入れていない駒場東邦を受験する生徒は、塾の受験相談を通して振り分けられているというのが現状でしょうし、優秀生の通学圏も上記の学校に比べ狭くなっているのが実際のところでしょう。
☆そういう悪条件の中で、生徒の知性・感性・身体性の成長を総合的にサポートしているのは画期的なことです。さらにその手法が1人ひとりの生徒とレポートを介してのきめ細かい対話によることを想起すると、先生方の日常の努力は想像を絶するものです。
☆それなのに、その対話的手法は麻布のほうが圧倒的に表現されていて認知度も高いですね。駒場東邦の荒々しいダイナミックな運動会も、開成の運動会の陰に隠れてしまっています。理系的センスや学者的センスのベースがある教育も、完全に筑波大駒場や武蔵、言うまでもなく、開成、麻布の認知度の方が高いですね。
☆先生方1人ひとりの戦術はパワフルですが、戦略がないのが駒場東邦の課題かもしれません。戦略とは組織の価値の最適化を持続可能にするコード体系のマネジメントです。そのコード体系によって、駒場東邦の教育は表現されるわけですが、そこが見えないコード体系になっているのです。目に見えないカリキュラムとはやはり明言だったのではないでしょうか。
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