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08 東大合格発表の季節[11]

☆3月22日に東大後期試験の合格発表があり、今年の大学入試もほぼ終了です。世の中は春休みに入っているし、桜もすでに開花。しかし、私立中高一貫校の先生方は入学式に向け、準備で忙しいことでしょう。

☆サンデー毎日(2008年4月6日号)には、東大の前期と後期の両方の合格判明分をまとめているので、それを活用して、前回公表した表を更新しました。

08 ☆武蔵の合格発表数も掲載されているので、改めて表にして公開しておきますね。それにしても、武蔵の東大合格者の減り方はすごいなぁ。学内で何かあったのか、それとも2000年前後から、武蔵に大量に合格者をだしていた塾の学習指導会の経営が紆余曲折したからなのかはわかりません。

☆いずれにしても、武蔵自体はオープンな学校ではなかったので、塾とのつながりも、学習指導会以外にはなかったのでしょうね。塾を教育的立場から歓迎していなかったのでしょうが、学習指導会だけはしかたがなかった・・・。創業者が武蔵出身だったのですから。

☆教育的立場からの塾批判は賛否両論あるでしょうが、私立中学受験のマーケットは、公立の小学校ではなく、中学受験塾なのですね。ですから、マーケティング的には、おさえておかなければならなかったわけですが、それができなかった学内の戦略不全症候群があったのでしょう。

☆もちろん、東大だけが進路の道ではないですから、クリエイティビティを養う環境が持続していれば、それはそれでよいわけです。とにかく武蔵はなんらかの路線変更を迫られていることは確かです。

☆入試問題がとてもおもしろいのですが、テスト測定学的には、偏差値53以上の差がつきにくい問題なんですね。だから、それを逆手にとる塾が学習指導会の衰退とともにあらわれたわけです。開成、麻布、武蔵の受験生の特徴をよくつかんで、振り分けをするのですね。塾にしてみれば、偏差値なんて関係なく武蔵に受かる生徒がいればそれでよいのです。偏差値の高い生徒はなるべく開成や麻布を受けてもらうという仕掛けをするのです。

☆東大の後期試験なんかも、実は武蔵と同様の可能性がある。しかし、センター試験で基礎学力は担保しているわけで、才能はあるけれど実効性に欠ける学生は選抜でふるいにかけられるわけです。

☆基礎学力(知識)と思考力のバランスが悪いと、武蔵のようになる可能性はあるわけですね。そのへんは、開成、麻布、海城、筑駒はバランスが良い。しかし、このバランスが悪い武蔵には、一条の光というか期待可能性があります。勤労勤勉でなく、働かず遊ぶ才能に長けている、それでいて世界の舞台ではじけることができるなんて人材が生まれる可能性があるからです。

☆武蔵の生徒は、東大を前提にしないで生きていける独自のパワーを持っている可能性がありますね。それは開成や麻布もそうです。しかし、東大にがんばってはいるその受験勉強の時間を自分の好きなことにすべてあててしまおうとまでは思わない生徒の方が多いのかもしれなません。ところが武蔵のハビトゥスを押し進めると、自分の好きなこと以外はやらんという極端な生徒が多くなるわけです。

☆世の中、キャリア教育だ、就活だと躍起になっています。しかし、働かないという労働のあり方もあるのですね。また何を言っているのかと叱られそうですが、日本の若者の雇用システムほど、サバイバルモードの高い先進国はないかもしれませんよ。働くということに関してこれほどハイリスク・ハイリターンになっている国はないのかもしれません。日本は金融学は学者でない人によって進化を促されています。経済学はおそらく金融学に逆転されているでしょう。

☆経済学は、市民社会の配分の正義の学ですからね、基本的には格差をいかになくすか。自由市場は、瞬間格差は生まれるけれどゼロサムですから。金融学は、実物労働以上に巨万の富を稼げるシステムです。なんのためにそこまで暴利を貪るのかわからんというぐらい教養なき富裕層が生まれています。

☆だからこそ、武蔵の生徒のように、あえてそんな環境に身を置かないという決断をするというケースもあるのではないでしょうか。実は開成や麻布にもそのような生徒がいるはずです。みんなが東大・早慶にいくわけではないですからね。そしてタレント的にはみなあるわけです。でも偏差値が足りないから東大を受験しないではなく、東大を選ばないという生徒がいるのだという事実を忘れてはならないでしょう。そして、彼らこそ、こんな日本なんてどうでもよいと思いながら、結果的に自分たちの言動が、日本を救うことになるというパラドックスを生み出してしまうのです。

☆武蔵の東大合格者の減少は、日本社会の凋落に即しているのではないかなぁ。そんなベクトルに乗らず、思いきり外れようという一見風変りな言動が、日本社会の凋落を救う言動のヒントを生み出しているのかもしれませんね。と考えてみるのもたまには必要かもしれないということでしょうか。

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