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学び野[09] フィンランド・メソッドのコミュニケーション力としての媒介性

☆フィンランドの読解リテラシーを育てる方法論、つまりフィンランド・メッソドの最後の構成要素はコミュニケーション力です。コミュニケーション力と言っても、日常会話ではなくて、ディスカッション(議論)のことを意味しているようです。

☆このコミュニケーションはルールにしたがってなされるのですが、北川達夫さんは10のルールを翻訳してくれています。

①他人の発言をさえぎらない
②話すときは、だらだらとしゃべらない
③話すときに、怒ったり泣いたりしない
④分らないことがあったら、すぐに質問する
⑤話を聞くときは、話している人の目を見る
⑥話を聞くときは、ほかのことをしない
⑦最後まで、きちんと話を聞く
⑧議論が台無しになるようなことを言わない
⑨どのような意見であっても間違いと決めつけない
⑩議論が終わったら、議論の内容の話はしない

☆これで、フィンランド・メソッドの5つの能力が巧みに統合されているのがわかります。フィンランド・メソッドは、日本の教育とは違って、本当のゆとりがあるとイメージされがちですが、かなりシステマチックに操作的に子どもたちを社会化しています。

☆この10のルールを、4つのコミュニケーション・カテゴリーに分類して、整理してみると、それがはっきりします。4つというのは、

C) Creative Communication

I) Interactive Communication

T) Tolerant Communication

O) Oppressive Communication

☆コミュニケーションは、創造的雰囲気で盛り上がったり、論理的に互いに話し合ったり、相手の話に耳を傾ける寛容な姿勢をとったり、話し合いの雰囲気を壊さないように抑制したりという対話行為によって成り立ちます。人によって、集団によって、その4つのカテゴリーのどこに力点がおかれるかは異なります。これを「CITOコミュニケーション分析」と呼ぶことにしましょう。

Photo ☆この分析をグラフ化すると、一目瞭然ですね。フィンランド・メソッドによるコミュニケーションは、TとOが高くなるのです。つまり、フィンランド・メッソドは、発想力、論理力、表現力、批判的思考力が十分に発揮できる環境を、コミュニケーションによって形成するという構造になっているのです。

☆CITOすべてのカテゴリーのどの項目もバランスよく鍛えると、逆に発想も、論理も、表現力も、批判的思考力も育成できるという関係総体主義的な発想ではなく、あくまでも要素還元主義的な構造論が、フィンランド・メソッドだったんですね。

☆これはフィンランド市民全体を世界標準レベルに持っていく学習戦略としてわかりやすいし、教師もインストラクションしやすいですね。しかし、これはフェリックス・ガタリのような思考様式には追いつかないでしょう。したがって世界標準を乗り越えることはありません。

☆それでよいのです。世界標準で十分ではないですか。ところが日本の私立中高一貫校は、それで満足しません。フィンランド・メッソドは私学における学びの理論の1つの段階に過ぎません。

☆逆に公立学校には有効ですね。学習指導要領が、世界標準のレベルに到達していませんから。世界標準の知識を学ぶ学年配列は大丈夫ですが、その知識を深めていくレベルが世界標準のレベル以下なのです。

☆多くの私立学校は知識の広がりも、知識を深めていくレベルも世界標準を超えています。

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