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学び野[11] 教育空間の媒介性②

☆遊び=学びの空間によって、子どもたちはどんな能力を開花するのでしょうか。仙田満さんは、

1)身体性

2)感性

3)創造性

4)社会性

☆だと言います。プレゼンするときは、イメージしやすいように座標系にして説明してくれます。ダニエル・ゴールマンだとIQ以外にEQとSQを開花すると言うでしょう。ハワード・ガードナーだと、言語的知性、論理数学的知性、空間的知性、身体運動感覚的知性、音楽的知性、対人関係的知性、内省的知性、自然科学的知性という多重知能(MI)とそれらを内的に連関させる知恵と創造性と信頼性と言うでしょうか。

☆幾つにカテゴリーを分けようと、いずれもIQ以外の知性、つまり脳科学的な成果を踏まえている点は共通しています。

☆さて、上記のような多角的知性を育成する空間の要素とは何でしょう。仙田さんは、4つ挙げます。

1)学びの場

2)学びの時間

3)学びの仲間

4)学びの方法

☆ここで重要なのは、これらが内的連関で結びつかねばならないということです。音楽室、運動場、技術工芸室、普通教室などがばらばらにあってもしかたがないのです。時間もそうですね。一日の時間は有限です。これを無限の時間に変換する空間の仕掛けとは何でしょう。体験<経験値になるにはコラボレーションが最も重要です。どんな空間があればコラボレーションが促進するのでしょうか。空間の中に学びの方法論が埋め込まれているとはどういうことでしょう。集中できる静かな空間があると勉強がはかどりますが、それが空間に埋め込まれた学びの方法論ではないですね。

☆この4つの構成要素を埋め込んだ空間のタイプにはどんなものがあるでしょう。仙田さんは6つの原空間というものを提案しています。

1)自然スペース

2)オープンスペース

3)道スペース

4)アジトスペース

5)道具スペース

6)アナーキースペース

☆「4つの空間要素」と「6つの原空間」を結びつける接合空間も仙田さんは考案しています。

1)回遊性

2)シンボル

3)ショートカット

4)大きな広場

5)ポーラス(穴があいている)

6)ゲームができる

☆「4つの空間要素×6つの原空間×6種類の接合空間」の仕掛けが、ズレや意外性を衝動として生み出し、多角的な知性を豊かな経験値として高めていくのです。

*仙田満さんの考え方を詳しく知りたい方は、

「子どもとあそび 環境建築家の眼」(岩波新書 1992年)

を参照してください。

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