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学び野[13]女子聖の教育空間の媒介性②

女子聖学院の教育空間について、仙田満さんの「6つの原空間」の視点で見てましょう。

1)自然スペース

2)オープンスペース

3)道スペース

4)アジトスペース

5)道具スペース

6)アナーキースペース

☆といっても、「自然スペース」については、グランドと庭園がまだこれからなので、写真をお見せすることができないのですが、実は女子聖学院の位置が中里の丘の上にあるというのが、何よりの「自然スペース」です。丘を上り下りする静かな運動が、実はただ平坦なところを歩くより、運動感覚機能を働かせるのです。道の上下が、歩くスピードや視角に変化を与えますからね。

Photo_7 ☆また、実はデザインが直線と曲線のバランスでできていますから、そこから受ける感覚も変化に富んでいるはずです。直線と曲線の空間では響きも違います。それに白木の明るい空間と新チャペルの付近の落ち着いたダークブラウンの空間とでは光のコントラストが明確に違います。視覚に変化を与えるのも実は「自然スペース」の仕掛けです。グランドや庭園はあまりにわかりやすい「自然スペース」ですが、それはどちらかというと物象化されたスペースです。気づきにくいところに、五感をゆさぶるしかけがあるのが本来的な「自然スペース」なのかもしれません。

Photo ☆「オープンスペース」はいたるところにあります。しかし、そのスペースに対話できるインテリアが配置されています。これは廊下でも、購買部でもそうなんですね。この廊下は、「道スペース」でもありますが、グランドと庭園ができれば、校舎内外を結ぶ「道のスペース」は回遊性があって、めまいが起こりそうです。このわくわく感は人生の道とも重なります。

Photo_3 ☆「アジトスペース」とは表現が少し変わっていますが、居心地の良い友人や先生たちとの居場所です。ときどき口論にもなる空間です。葛藤の思い出、秘密を共有する信頼が生まれる空間です。

Photo_4 ☆「道具スペース」は教育空間には山ほどあります。家庭科教室、美術教室、体育館、図書館、自習室、購買部・・・。

Photo_5 ☆「アナーキースペース」。これも表現が少し違和感あるという方もいるかもしれません。しかし、要は揺らぎの部分、自由な部分ですね。その揺らぎや自由も秩序とバランスがとれるようになるのが社会性です。多目的ホールとかがそうなのですが、Photo_6 女子聖学院の場合はやはり多様な廊下の空間が「アナーキースペース」なのでしょう。一見幾何学的空間で、コスモスが優先しているように感じますが、そこに生徒が集まればどうなるか想像してみてください。イサム・ノグチは空間は子どもが訪れることによって完成すると考えていたと思いますが、アナーキースペースとは、生徒たちが集まることによって空間が変容するのでしょう。

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