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学び野[17]ポスト2.0モダンの媒介性②

☆ニューヨークから戻った知人に話を聞きました。彼は学生ですが、ニューヨークのコンテンポラリーアーティストたちとコミュニケーションしています。彼らはドイツやイタリア、もちろん日本でも活躍しています。でも拠点はNYです。

☆コンテンポラリーアートでビジネスが成り立つ拠点がNYやロンドンだからですね。アーティストといっても、多種多様。1人孤独に自己沈潜しながら活動している人もいれば、知人たちのようにハイブリッドで活動しているチームもあります。

☆知人によると、コンテンポラリーアーティストたちは、日本のようにポストモダンだあ!一色の思想界はおもしろいよねということらしいのです。村上隆さんのようにスーパーフラットだというコンセプトは、たしかにポストモダンに近いけれど、日本のように全体の雰囲気がスーパーフラットだあ!ということにはならないのがアメリカで、基本的にはめちゃくちゃ保守的だというのです。

☆だけど色々な人がいて、互いに尊重し合う寛容性がある。だからこそ、一方ではめちゃくちゃ頑固な安全保障システムがあって、ここは自由の国アメリカだろうかなんてめまいがするときもあると話しているそうです。

☆私はNYは5年前に訪れて以来行っていませんが、その時に比べ、ずいぶんネット環境が変わったということです。超高層ビルがくっつくように林立しているマンハッタンですから、ケーブルを各部屋に張り巡らすのではなく、どうやら無線ランをがんがん飛ばしているみたいです。セキュリティの厳しいはずのアメリカなのですが、一方でカフェでもパークでも、無線を拾ってインターネットにつながる箇所が結構多いそうです。もちろん無料だということです。

☆ネットの世界は、疑似ポストモダンです。ですからNYもポストモダンだらけに見えるのだそうですが、彼らは日本と比べてやはりモダニズムが貫徹していると感じるのだそうです。そして、日本って、やっぱり良いところだとなるそうです。疑似ポストモダンもいっぱい溢れているけれど、ポスト2.0モダンもすでに溢れているということなのでしょう。もちろん官僚モダニズムには辟易してしまうようですが、少なくともポスト2.0モダンはすでにあると感じるのだそうです。そうそう水が豊だというのがこれからのアートには欠かせないところでもあるようです。

☆ただし、そんなポスト2.0モダンでは生業にならないので、日本において、コンテンポラリーアートではなかなかビジネスにつながらない。ポスト2.0モダンはまだ雰囲気でマーケットにはなっていないということでしょうか。もしかしたらならないのかもしれません。何せ日本国内だけで通用するものはマーケットにはならない。それなのに存在するところが、日本の良さだというのではないでしょうか。

☆ビジネスはやはりデカルト空間でないと今のところはダメだということでしょう。スピノザ空間では競争がないですからね。知人がグッゲンハイムの新しい企画の展示会のオープニングやパーティーにアーティストたちと参加して感じたことは、たしかにフランク・ロイド・ライトの設計はおもしろいけれど、まだモダニズム。でもイサム・ノグチといっしょで、その建築や彫刻と他者がコミュニケーションするときにポスト2.0モダンが一瞬生まれるようです。でも生業の部分は、フランク・ロイド・ライトの設計したあくまでも物象化された建築物の使用料。それをベースにしたコンサルタント料などなどです。いや大きいのはオークションでしょうか。

☆ポスト2.0モダンはモダンなくして生計が成り立たないし、モダンはポスト2.0モダンなくして持続可能性を保障できないわけです。この共存関係を断ち切る脱構築はいかにして可能なのでしょう。コンテンポラリーアーティストたちの体験<経験値がいかにしてビジネスとして可能になるのでしょうか。そのヒントが≪私学の系譜≫にあればよいのですが・・・。

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