首都圏 中学受験 2008 [75]
☆私立中高一貫校の成長サイクル「草創期→成熟期→衰退期→蘇生期→死滅期」の循環で見ていくと、芝中は成熟期をずっと持続可能にしています。今年の一回目の応募者数は昨年を上回りました。2年前の応募者数よりも多いですね。
☆この成熟期の持続可能性をどのように作り出しているのでしょうか。一般的な受験生の保護者のイメージはおそらく、多様な大学進学実績を出してくれるけれど、保護者にも生徒にも気配り目配りのきく学校だ。理数が強く医師薬系の実績も高い投資効果の保障されたかつストレスレスな教育を実践しているといった感じではないでしょうか。
☆そして在校生の親になったとき、なんてきめ細やかな指導が行き届いている学校だろうと満足する学校ですね。校外学習も多く、夏休みなどは合宿などで、家にいないときの方が多いのではないでしょうか。
☆親も子も自立できる環境があるわけですね。鈴木隆祐さんの新刊書「名門中学 最高の授業 一流校では何を教えているのか」(学研新書2008年2月6日)では、芝中はエリート校に分類されています。
☆鈴木さんは、私のクオリティスクールの分類指標を参考にしましたと、序の部分で言及してくれていますが、私の分類の仕方によると、芝中はエクセレントスクールです。鈴木さんの分類の仕方は、私よりもかなり厳しい基準のようです。
☆本の中で紹介されている36校のうち、私の分類の仕方でエリート校になるのは8校です。鈴木さんは、23校をエリート校に分類していますね。鈴木さんが紹介している芝の生物の授業や校外学習は、世界標準のモノサシに合わせてもハイレベルだし、創造的思考力まで育成できるようになっているので、私はエクセレントスクールに分類していますが、鈴木さんはもう少し厳しい基準で分けているのかもしれません。
☆たしかにホームページやパンフレットのイメージは少し権威的で硬派な感じかもしれません。また一見教科主義だし、数学の先取り方式は、いかにも進学指導中心に見えます。しかし、実際は柔軟だし、明るいし、科学エッセイなどは、教科横断的だし、今の中学の学習指導要領の数学は、芝の生徒ならゆっくりやっても2年間で終わるでしょう。
☆だから単純に大学進学実績を出すことを目的とした教育を実施しているわけではありませんね。だからその雰囲気を感じた上で受験生も保護者も芝中を選択しているはずです。ということは、広報活動の一歩前のイメージ戦略あるいはブランド戦略が少し実態とズレているということでしょうか。
☆もっとも、鈴木さんの分け方は、超エクセレントスクールとエクセレントスクールという分け方で、前者をエクセレント、後者をエリートと呼んでいるだけです。芝中が大学進学実績重点校だなんてことは言っていません。あくまで編集上のわかりやすさを重視しただけでしょう。本意は私とほぼ一致していると思います。
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