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首都圏 中学受験 2008 [77]

08 ☆今年の鴎友学園女子の応募者数は、やはり多かったですね。1次が3.1倍、2次が5.9倍、3次が25.0倍ですから、人気は不変です。しかし、過去10年間の総数推移(入試回数、各回の定員設定が違うので各回数の応募者数の総数で出した)を見ると、学内では少し停滞してきているのではないかという危機意識があるのではないかと推察できます。

☆同学園はすでに成熟期に位置していますから、ここを持続可能にしていくにはどうしたらよいかという議論は、おそらく毎年学内で侃々諤々行われていることでしょう。鈴木隆祐さんの新刊書「名門中学 最高の授業 一流校では何を教えているのか」(学研新書2008年2月6日)で次のように記述されていることからもそれは伺えますね。

「私学の生き残り法」という点で、最も参考になるのは以下の鴎友と吉祥女子だろう。だが、仮に劇的な飛躍を遂げたとしても、その成功体験に留まっていては、『水戸黄門』のテーマではないが、すぐ後から来たものに抜かれてしまう。両校に関しては、そこは心していると思われるのだが・・・。

☆「心していると思われるのだが・・・」という表現は微妙。作家としての鈴木さんは、取材の過程で多くのことを感じています。記述になるのはその一部です。表現の自由と言っても、そこには公共的な倫理というものもあるので、何でも書くことはできないのですね。ですからレトリックを使っている場所には何かが横たわっているのです。このものすごい間接的な表現法と省略法のレトリックは、さりげないけれど何かあるのでしょう。

☆それはともかく、要するに学内の意識の変革の動きがあるのだと思います。意識の変革には、7つのReの動き(ハワード・ガードナーの視点による)に何らかの変化があるはずです。つまり、理性的な動き、リサーチの動き、共鳴への叫び、コンセプトの再確認、精神的リワードの追究、リアルな世界への対応、変革への抵抗勢力のうねりのうちどこかに新しい動きがあるのが外からでも見えるはずです。

☆そういう意味では、鴎友は、常に変革の意識を覚醒しているといえますね。というのは、まずデータや数字を使って、客観的にものごとを実証していく姿勢は、学内だけではなく、学校説明会でも変わらず一貫しています。

☆リサーチとしては、フィールドワークやあらゆるところからの情報収集は常に行っています。今年もすでに動いていますね。他校の見学だけではなく、あらゆる研修や勉強会の情報を収集している様子が伝わってきます。

☆共鳴への叫びは、内村鑑三的信念で私学のみならず公立にも呼びかけていると思いますが、内村鑑三としての世界のとらえ方については、追究がされているのかどうかは、私はよくわかりません。私学の系譜論的論調を清水校長先生が語られているのは伝わってきていますが・・・。

☆コンセプトの再確認は常に遂行されています。精神的リワード、つまりTrusteeshipは、園芸や聖書の時間に限らず、あらゆる教育活動で、教師も生徒も発揮しているでしょう。

☆リアルな世界への対応に関しては、静かですが激しい動きが学内であるのではないでしょうか。脳科学の成果や新しいテクノロジーの導入の検討に関しては、学内での議論は尽きないことでしょう。

☆変革への抵抗勢力は、基本的にはないのですが、若手への精神的継承、スキルの継承という点で、少し滞っているかもしれません。それが結果的に抵抗勢力の存在を生んでしまっているという状態になっているように外からは見えます。抵抗勢力の存在があるということは、持続可能に向かってそれを解決しようと動きますから、やはり鴎友学園女子は成熟期の新たな持続可能性戦略のプランを構想し、実行しようとしていると考えてよいのではないでしょうか。それが何かはわかりませんが、2009年に向けてあっと驚くような展開があることを期待していましょう。

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