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学び野[22]中村学園理事長授業の媒介性

Photo ☆中村学園理事長小林和夫先生は、毎年本を発刊しています。今年も「世界を知ろう―身近な窓をあけて」(銀の鈴社2008年3月3日)を編集されています。

☆小林先生の講演や学内報に書かれたものを中心に、先生方の書かれたものも編集することによって、中村学園の教育の基本的な考え方、つまり教育戦略が伝わるようになっています。

☆それにしても、ついにやったなあ。理事長がプロジェクト学習という授業を廊下で実行してしまったのですから。部屋を出て外に出ようよとは寺山修司が言いそうですが、小林先生は教育空間は教室だけではないよというわけです。

☆すごいなぁ。ある意味教室というのは教科学習ですよ。廊下はその各教室を横断的につなぐわけですね。教室と廊下という空間の構造がそのまま学習のプロセスのメタファーになっているんですから。

☆しかもこの空間には、学年も交差し教師も交差するネットワーク型のコミュニケーションがあふれているんですね。ネットワーク型は物理的にはまだまだマトリックスですけど、心理的にはもうそんなものを超えています。フェリックス・ガタリだったらリゾームというのでしょうね。

☆ともかく、進路指導室前の廊下に全校掲示板があるのですが、そこを「知の溜まり場」にしようと脳裏にひらめいたところから、このプランが始まったようです。

ここに切り抜いた新聞記事を張り出して、生徒にその感想を聞いたり、意見を求めたりしてにわか青空教室を作れないだろうか。知の溜まり場になれば、わたしと生徒の位置関係は、上下のタテ関係ではなく、左右のヨコ関係が生まれるだろう。命令・指導という上下の一方通行ではなく、助言・示唆という横からの力が双方向に働かないだろうか。わたしの「授業第一」がこういう形でできればいいと思った。

☆小林先生の授業の準備もまたすさまじいものがあります。

紙面の文字数は朝刊だと新書2冊分。夕刊だと0.3冊分あるそうだから、毎日、新書本を2.3冊。1ヵ月で70冊読破するのに等しい勢いが必要だ。この場合、記事を鋏で切り抜くことを考えると、持久力もさることながら瞬発力を研ぎすますしかなかった。

☆さて、知の溜まり場の効果は絶大だったようです。生徒たちの好奇心、知のお祭り騒ぎ、議論、対話は広まったのです。何より新聞記事という身近な窓から世界を広く遠く眺めることができたのです。

☆詳しくは本書を手に入れて読んでみてください。その際、実際に中村学園に訪れて、知の溜まり場だけではなく、知のギャラリーや今の自分と未来の自分を考える空間もご覧になるとよいですね。

☆中村学園の教育空間は、やさしく包まれる空間や楽しく対話する空間、アーティスティックな雰囲気に浸れる空間、静かに思考できる空間、そして知のお祭り騒ぎができる空間があります。そしてこの空間の出来事が、すべて脳内プロセスのメタファーになっているのです。考えるとは、感じるということは、共感するということは、空間と戯れることで学んでいくのです。

☆小林理事長は、そのプロセスを見える化したのです。プロセスが明快になれば、生徒たちの変化や滞留も見えます。どうしたらよいのかは対話やメンターシップでOK。だから小林先生の授業は、中村体験<生きる経験値に変化させる絶大な媒介項なのです。

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