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学び野[25]白梅清修の戸塚先生の媒介性②

学び野[24]白梅清修の戸塚先生の媒介性 ①のつづきです。白梅学園清修の天才数学教師戸塚先生からは、「生徒の皆さんが世界標準以上の学力を身につけられる授業やテストとはいかにして可能なのかというテーマ」のお話をいつも拝聴しています。戸塚先生は、教科連動型の発想やコラボ型授業のプログラム作りの重要性を常々論じられています。

Photo ☆教科連動型の発想やコラボ授業が、生徒の清修体験を豊かな経験値に変換する媒介項だということなのですが、この媒介性とは具体的にはどういうことなのでしょうか。発想にしても授業にしてもポイントは連動、コラボですから、一見異質なものでもつなげてしまう、置き換えてしまう環境が、生徒の体験を思い出で終わらせるのではなく、使える知識や技術を形作り、その形=型が新たな発想を生み出すという経験値を高めていくことになるということなのです。

☆しかし、その「一見異質なものでもつなげてしまう、置き換えてしまう環境」とはまたいかにして可能なのでしょうか。このことを考える上で、戸塚先生が算数の入試問題の作り方について語られた中にヒントがあります。一部をご紹介しましょう。

本間)白梅学園清修の算数の入試問題を学ぶことは、一般的な算数の受験勉強するのとどんな点が違うのですか?

戸塚先生)中学入試の算数というのはある種特殊技能と感じられるものがあります。確かに、限られた短い時間で、正解を導くための手法が求められるときもあるでしょう。

本間)塾などで教えると言われている、「テクニック」というものですね。

戸塚先生)そうですね。本当のところは意外と本質的な思考を「テクニック」と言っているだけのこともあり、感心させられるときもありますが。それはともかく、清修としては、条件反射的に答えを出す力よりも、問題文に書いてある情報を丁寧に読み込み,それを式で表現したらどうなのか?グラフや図で表現したらどうなるのか?こういった、大切な情報を結びつけ、自身の考えを述べる思考力と表現力を見るようにしています。

本間)大切な情報を結びつけるというのはポイントですね。どうも算数とか数学となるとデータという言葉は思い浮かぶのですが、情報という言葉は思い浮かばないのですが、戸塚先生にそのように説明されると、わかるような気がします。

戸塚先生)ここ最近、清修の先生方と日本語の表現と、数式での表現のことが時々話題になります。やはり場合の数や確率の内容になりがちですが、「2つとも赤でない」「3人が隣同士」など、これらの日常的表現を数学の世界でどう扱っているのかなど、そして英語で表現したら?など・・・要するに、言語と論理の関連性を感じている次第です。

本間)読解リテラシーと数学的リテラシーの結びつきの話ですね。

戸塚先生)OECD/PISAのような世界標準の学力なんかもそういうことは意識しているのでしょうね。しかし、実際には積極的には、まだなされていないでしょう。それはどちらかというと問題解決リテラシーという別カテゴリーで対処されているような気がします。清修は、総合学習とか、問題解決とかいう別の教科をつくるのではなく、教科どうし、そして教科の中でやっていきたいと構想している次第です。

本間)教科どうしのつながりはイメージつきますが、教科の中でというのがちょっと?

戸塚先生)本間さんでも、わかりにくいですか?ますます大事なことであるという証拠ですね(微笑)。たとえば、算数と数学は、数学という教科の中でつながるようにするのです。

本間)あっ!なるほど。たしかに算数から数学へスムーズに移行するのは意外と厄介だと聞きますね。

戸塚先生)そうなのですね。しかし、その問題は、実は算数とか数学の問題ではないのです。様々な問題に取り組む際、例えば「この答えを求めるためには、○○が分かればよい。○○を得るには□□を求める。それには問題文のこの条件を、このように活用していけば良いはずだ!」といった、論理的思考力の育成の問題なのですね。

本間)それで、算数の入試問題などで、まったく目新しい、他では見ない問題が出題されることもあるわけですね。その方が塾で学んできた算数の解き方を直接使えるわけではないので、論理的に考えるという道しか残されていないということですね。すごいなぁ。神奈川の栄光学園の先生方と同じような発想ですね。

戸塚先生)まっ、似て非なるものだと思いますが(微笑)。とにかく、人間が生きていく中で、答えが始めから分かっていることはむしろ少ないのではないでしょうか?そのような場面に直面したときにも、より良い選択をするためには、どのように考え、行動すれば良いのかを卒業後も考えて行動出来るように配慮し、教育活動にも従事するのがミッションだと思っています。数学的思考は未知のものや未来のことを予想したり、シミュレートするには最適なわけで、それは算数でも同じことです。算数から数学へスムーズに移行するのは技術論の問題ではなく背景論の問題ですよ。

☆戸塚先生をはじめ白梅学園清修の先生方は、皆時間密度が高い仕事をされています。この時間制約をいかにして超えられるのかが、逆に創意工夫の思索を生み出しているともいえるのですが、おそらくその仕事は生徒一人ひとりとの対話が中心ですから、やはりここにこそ「言語と論理の関連性」を考えるヒントがあるのでしょう。まずは生徒と教師のコラボプロジェクトこそ清修のベースだということでしょう。

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