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世界を変える学校[07] 海城学園⑤

世界を変える学校[06] 海城学園④ 】のつづきです。

☆海城学園の先見性について、中田先生はこう語っています。

社会科の総合的学習が開始されてはや十六年が経とうとしています。文部科学省が総合的学習の導入を決めるよりもはるか以前に、それに踏み切った本校の社会科教員を中心とした先生方が将来を見据えて選択した指針が、決して的外れでなかったことが今ようやく世間でも認知されるようになってきたということでしょうか。

☆まったくその通りですね。昨日の午後知人に頼まれて、小学校低学年の保護者対象のセミナーに参加しました。「9歳の壁をなぜ乗り越える必要があるのか」というのがテーマでした。9歳の壁を乗り越えずに「きっちり」勉強だけしていくとどんなキャリアデザインの可能性が待っているのか。逆に乗り越えずに「のびのび」暮らしていくと、大人になってからどうなっていくのかという仮説を話しました。

☆なんだか危機感駆動型の話になってしまって、少し反省しないわけではないのですが、妙にリアルな雰囲気がセミナールームに広がってしまったので、ついついそこのケースの話で盛り上がってしまいました。

☆で、どうやって9歳の壁を乗り越えるのか、そもそも9歳の壁とは何かという話になりました。9歳の壁を乗り越えられなくても、東大の入試問題はできてしまうのだし、日本の社会だけで暮らすのならなんとかやっていけてしまうという話もしましたか。

☆保護者の中には、将来お子さんを海外につれていくという方や、私立小学校に進学させたという方がいたためでしょうか、そのような問題意識について妙に共感雰囲気が浸透してしまいましたね。

☆ともあれ、OECD/PISAの問題、ウツ病の問題、不登校やニートの問題、クリエイティブ・クラス到来の話題などなど話は広がりました。

☆そして、9歳の壁を超える思考力を考える問題の例として、岡部憲治さんの「世界標準の読解力」で紹介されている海城学園の問題をいっしょに考えてみました。都市工学の専門家もいましたので、ますます盛り上がってしまいました。

☆地図という非連続テキスト(文字ではなく図や表で描かれたテキスト)から、都市計画を批判的に検討し、自分の都市デザインを創造的に思考するには9歳の壁を乗り越えていなければできないし、こういう問題を考えることが9歳の壁を超えることにもなるのだというアハ体験の空気は感動的でしたね。

☆海城学園の入試問題では、茂木健一郎さんのいうアハ体験ができる問題が多く出題されますが、それを制作編集しているのは、海城学園の先生方以外にいないのは、言うまでもないでしょう。

☆中田先生自身は国語の教師です。しかし、社会科の先生方の教育活動の本質を、このように見抜き、評価し、応援しています。知のインタフェースが成立しているのですね。この本当の意味での知の横断的な思考の創発が、海城学園の先見性の面目躍如ですね。

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