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08全国学力テスト“02”

昨日22日、全国学力テストが実施されました。テスト問題と解答も各紙で公開されています。ざっと見た感じだと、奇をてらったような問題は出題されていないようです。しかし、テストの効用や影響まで配慮されていない作問者側の心の冷たさが伝わってきます。

☆世の中では、この学力テストに向けていろいろ対策をしていると言われています。その行動に対して、対策なんかするなとか、点数に一喜一憂するなとか、またまた冷たい心が発動しているようです。テストは問いの塊です。問いを発すれば、受けとめた側はいろいろな気持ちをいだくし、自分なりの反応が言動に表現されます。それがコミュニケーションです。

産経新聞によると、そのようなコミュニケーションに対し抑圧的な雰囲気が全国学テを実施する側からも生まれています。まったく困ったものです。

43年ぶりに復活した昨年に続き、22日実施された全国学力テスト。昨年の結果を基に、各地で「勉強合宿」や公民館を使った「寺子屋」など学力向上対策が取られている。文科省は「学力コンテストではない」と、数字に一喜一憂しないよう呼びかけているが、各教育委員会は、都道府県別の成績が気になるようで、学力アップに躍起だ。
(「勉強合宿」「午後の寺子屋」 学テ、各地で成績アップ躍起 08年4月22日産経新聞から)

☆この涙ぐましい反応に冷ややかなメッセージを送る必要は全くないわけです。むしろこの反応にエールを贈るような問題を作成するべきでしょう。

☆たとえば、国語の問題に、寺田寅彦さんの「茶わんの湯」が使われていましたが、なぜこの随筆が、地球物理学者竹内均さんが学生の頃読んで学者になろうと決めるきっかけになったということを結びつけなかったのでしょうか。

☆そうすれば自分に影響を与えた本という視点が、全国学テの勉強のときに身について、読書の効用について全国の中学生が学ぼうという意欲につながるでしょう。

☆それに、この随筆が小さな現象から大きな現象を説明する展開になっているなんていう文章構造を分析するだけの問題で終わっているのは、あまりにももったいない。

☆茶わんの湯の中で起こっている現象は実は地球規模の現象と同じなんだと気付いたら、次にはこのような大きな現象を物語っている小さなあるいは身近な現象について、自分の体験から説明してくださいというような問題を作成しておけばよかったのではないでしょうか。

☆そうすれば、全国学テの勉強をするときに、こういう視点、つまり科学の目を養う勉強をみなするようになるでしょう。読書や科学的なものの見方を勉強するきっかけを作るのが全国学テの使命にもなります。

☆これは学習指導要領の枠内の項目なので、逸脱しないだろうし、テストは分析するだけではなく、未来の学びのモチベーションアップのツールでもあるという認識を広めるのに役立つでしょう。分析だけだとあまりに冷ややかですよね。

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