08全国学力テスト“05” 小6国語学テの意味するコト①
☆今年実施(2008年4月22日)の全国学力テストのうち小学校6年生の国語の分析を、岡部憲治さんと行いました。基礎データは、岡部さんのサイトにまとめられていますので、そちらをご覧ください。
☆岡部さんは「オカベ式かんがえ型」の切り口で、論評を進めるはずです。私の方も、その基礎データを加工し、いろいろな角度から考えてみることにしましょう。まずは9歳・10歳の壁を越えられないような問題になっているという点について。
☆OECD/PISAの読解リテラシーの報告に基づいて、日本とベスト3の国の習熟度レベルの到達者割合の比較のグラフを何回もつかっていますが、ここでも念のため眺めておきましょう。レベル4、レベル5で日本はベスト3の国と溝をあけられています。
☆知識を覚え、知識を整理し、知識を自分なりに分類できるところまでがレベル3です。しかし、与えられた知識を批判的にみたり、新しい知識を創造したりすることなど夢にも思わないのがレベル3までです。これでは自分が壁にぶつかったとき、そもそも出発点が問題だったのではとか、知識としては違う表現だが、言い換えているだけではないかとか、同じ表現でも互いに違う意味でとらえていたのかぁなどの柔軟な思考ができないのですね。
☆ユーモアや笑いは差異を生み出すことです。微妙な差異に気づくことです。このユーモアのセンスがなければ、自分を変えることなどできません。与えられた2極点を疑いもしないものだから、ジレンマやダブルバインド状態から抜け出せません。
☆さて、今回の小6国語の問題ですが、A問題とB問題合わせて、各レベルの問題の出題割合の分布をグラフ化してみました。レベル4やレベル5の問題はほとんど出題されていません。これでは9歳・10歳の壁はクリアできませんね。この学テを目指して生徒たちは勉強しているのですから。
☆どうやら、葛藤の領域で、なんとかしようと一生懸命働き、その中で疲弊していく・・・。そういう高ストレス社会を強化していくというのが文科省の教育政策だったわけですね。そうしなければ戦後日本(明治政府からでしたが)は官僚近代社会を形成できなかったのです。
☆しかしながら、全国学力テストをPISA型にしたと言わなければ、立証のしようがなかったのですが、そういったばかりに世界標準のモノサシをあてる道を拓いてしまったんです。すると世界標準を無視している日本の教育政策が浮き彫りになってしまったという何ともパラドックスですね。
☆「ゆとり教育」か「脱ゆとり教育」かという二極の論議を大政奉還する議論から、日本の教育は始まるのです。歴史は繰り返されますが、二度目、三度目・・・は茶番になりがちです。ここも注意しなくては。
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